写真●NECの細田稔氏
写真●NECの細田稔氏
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 2008年7月23日に開催された「SaaS & エンタープライズ2.0 フォーラム2008」で,NECの細田稔マネージドプラットフォームサービス事業部長が講演,同社のSaaS戦略や最新の提供事例などを明らかにした。

 細田事業部長はまず,NECにおけるSaaSの定義について「かなり広くとらえている。当社の保有するノウハウ,パッケージ,ネットワークサービスを顧客に対してオンデマンドで提供するもの,すべてが当てはまる」とした。同社は現在,業務ノウハウやサービスなどを積極的にSaaSに組み込みつつあり,「業種別や業種横断型のサービス,大企業向けや中小企業向けのサービスなど,持てる資産を再度整理して,SaaSとして提供する」(同)考えだ。

 特に重視しているのが,他のシステムやサービスとの連携である。「ほとんどのシステムやサービスは他のシステムとデータ連携する必要がある。例えば,SFA(セールス・フォース・オートメーション)とBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとERP(統合基幹業務システム)を連携させる,といったケースだ。そのために,他の基盤で動いているアプリケーションとも連携させられるようなゲートウエイ機能の提供に力を入れる」(同)。

 今後は社内外のリソースを使って,SaaSメニューのカバー範囲の拡大を図る。「当社だけではアプリケーションの幅に限界がある。そこは,パートナーと新しい形を作っていきたい」(同)。

 そのために,「SaaS Business Innovation Program」というプログラムを立ち上げ,約40社のパートナー企業とどのようなアプリケーションをSaaSで提供するか検討中である。「検討する中で,SaaSに向くアプリケーション分野とそうでない分野も見えてきた」。分野によっては,SI(システム・インテグレーション)とSaaSのハイブリッド型ソリューションも検討しているという。

 講演の後半では,SaaSの提供事例を披露した。シフト勤務計画を簡単に作成できる機能を提供する「シフト勤務スケジューリングサービス」は,小売業者や携帯電話販売会社などで利用実績がある。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)サイトの機能をすぐに利用できる「Social Tool Mart」は,三井不動産販売やテレビ新広島のほか,団塊の世代向けSNS「B&G Network」が利用中という。このほかeラーニングや,BIGLOBEの一部機能を利用したクレジットカードの公金決済などを紹介した。