写真●総務省電波部の渡辺克也電波政策課長
写真●総務省電波部の渡辺克也電波政策課長
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 「3.9G(3.9世代携帯電話システム),4G(第4世代携帯電話システム)に関する議論はネットワーク上で展開するビジネスをいかに広げていくのかが重要。このようなアプリケーションのマーケット抜きには語れない」--。ワイヤレスジャパン2008併催のワイヤレスカンファレンス2008の講演にて2008年7月22日,総務省電波部の渡辺克也電波政策課長がこのように語った。

 総務省の「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」では2008年4月から3.9G導入に向けた技術的条件の調査を実施している(関連記事)。3.9Gのシステムではどんなサービスが考えられるのか,携帯電話事業者やベンダーのほか,家電メーカーやコンテンツ・プロバイダーも含めて議論が進んでいる(関連記事)。

 この点について渡辺課長は「携帯電話は音声端末から情報端末へと進化している。使い方をいかに広げていくのかが重要。従来の新システムの検討ではスペックを調査することに終始していたが,3.9Gの議論ではこれから5年,10年先を見据え,これまでの延長線ではなく新しいビジネスを創出するような視点が求められる」と説明。7月末に報告予定の中間報告と12月にまとめる予定の答申では,3.9Gのシステムを使った将来のサービス・イメージを含める計画という。

 3.9Gの議論の仕方をこれまでと変えたもう一つの理由として渡辺課長は,3.9Gシステムのコア・ネットワークがIPベースに変わる点を挙げる。「3.9Gではケータイ版NGN(次世代ネットワーク)を構築する形になる。そうなると(固定系と同じ)IP網上でのサービス創出の問題が絡んでくる」(渡辺課長)。

 なお携帯電話事業者が3.9Gシステムを導入するためには,追加の周波数の割り当ても大きな焦点になる。渡辺課長は「ポイントとなるのは,現在第2世代携帯電話用に利用している1.5GHz帯。このバンドをどのように使っていくのか検討を進めていきたい。他の帯域も含めてどの程度の帯域幅を利用するのかは,秋ころまでに方向性が出てくるのではないか」という考えを示した。