写真●左からI-ROI代表理事の相磯秀夫東京工科大学学長,代表代行の襟川恵子コーエー・ファウンダー取締役名誉会長,西沢利治I-ROI事務局長代行
写真●左からI-ROI代表理事の相磯秀夫東京工科大学学長,代表代行の襟川恵子コーエー・ファウンダー取締役名誉会長,西沢利治I-ROI事務局長代行
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 インターネットや携帯サイトのコンテンツの健全性を審査・認定する第三者機関であるインターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI:アイ・ロイ,関連記事))は2008年7月17日,設立記念シンポジウムを開催し,今秋以降に予定しているインターネット・コンテンツの評価基準を明らかにした。

 I-ROIの目的は,学識経験者と有識者により策定した基準によってコンテンツの健全性を評価し,その閲覧の是非を年齢別・利用環境別に制限するラベル付け(レーティング)として判断すること。「政府や業界,利用ユーザーから距離を置いた第三者機関として,中立的な立場で評価基準を作る。評価を押しつけるのではなく,ユーザーが利用する際の判断材料にしてもらう」(I-ROI代表理事である東京工科大学の相磯秀夫学長,写真)。

 今回明らかにした評価基準は,まず利用者を12歳未満(小学生),12歳以上(中学生),15歳以上(高校生)に区分。その区分ごとに,セックスや暴力などの描写,差別表現,勧誘依頼の有無など全部11項目でサイトの内容を評価する。評価はそれぞれの項目について「安心して推奨できる」「やや注意を要する」「利用に注意を要する」と3段階に分ける。

 具体的な運用イメージとしては,I-ROIの認定を受けたいコンテンツ事業者が,上記の評価基準に沿って自らのサイトを評価しそれをI-ROIに提出する。I-ROIはコンテンツ事業者から得た情報を基に,実際にサイトの審査を行う。審査の結果,コンテンツ事業者の評価が適切と判断できれば「12歳未満推奨」といったマークをそれぞれのサイトに付与する。そのマークにより,保護者などがサイトを安心して利用できるかどうかを判断する。

 認定作業が始まる今秋までに,上記の評価基準をさらに固めていく方針だ。もっとも相磯代表理事は「基準をどのように活用するのかが最も重要。ある意味運用する中で初めて分かる問題点もあるかもしれない」と,まだまだ手探り状態であることを認めている。

 I-ROIの代表理事代行のコーエーの襟川恵子ファウンダー取締役名誉会長は,「マークを付与するだけでは有害サイトの問題は解決しない。一番大事なのは親から子への教育だ。米国と比べて日本は親によるネットの監視が10分の1以下という報告もある。このように親から子への教育を支援していくのもI-ROIの役目」と語る。

 I-ROIは2008年4月に設立することを表明し,5月30日に正式に組織として発足ている。設立委員会のメンバーとして,代表理事に東京工科大学の相磯秀夫学長,委員としてソニーの出井伸之アドバイザリーボード議長,コーエーの襟川恵子ファウンダー取締役名誉会長,インターネットイニシアティブの鈴木幸一社長,慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授,慶應義塾大学の中村伊知哉教授などが参加している。コンテンツを評価する第三者機関としては携帯サイトに特化した「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」(関連記事)が既にあるが,I-ROIはインターネット・コンテンツ全体を評価の対象としている点が異なる。

[発表資料へ(I-ROIのホームページ)]