欧州連合(EU)の執行機関,欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2008年7月17日,米Intelに対し,同社が欧州競争法に違反したとするECの予備的見解を示す異議声明(SSO:Statement of Objections)を送った。このSSOは,ECが2007年7月26日に送付したSSOを補足する内容という(関連記事:欧州委員会,反競争的行為でIntelに異議声明を送付)。

 ECは,Intelが競争相手である米AMDをx86プロセサ市場から排除するために独占的な立場を乱用し,欧州競争法を破ったとみている。今回のSSOでECが指摘したIntelの違反行為は,(1)Intel製プロセサ搭載パソコンのみを販売する見返りとして欧州の大手パソコン小売業者に相当額の報奨金の提供,(2)AMD製プロセサ搭載パソコンの発売を遅らせるため主要OEM業者に金銭の供与,(3)ノート・パソコン向けプロセサをすべてIntel製とする見返りとしてOEM業者に相当額の報奨金の提供,という3件。さらに,2007年7月のSSOで指摘した項目を補強する情報も追加した。

 ECからIntelが与えられた返答猶予期間は8週間。返答提出後に口頭弁論で弁明する機会も用意されている。違反の事実があったとECから認定された場合,違反行為の停止と制裁金の支払いを求められる可能性がある。

 Intelは世界各地で独占禁止法(独禁法)違反の疑いがかけられ,調査の対象となっている(関連記事:Intel,米国で独禁法違反調査の対象にAMD,Intelのx86プロセサ市場独占に関する新情報をデラウェア州連邦地裁へ提出)。

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