米Blue Coat Systems社長兼CEOのBrian NeSmith氏
米Blue Coat Systems社長兼CEOのBrian NeSmith氏
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 「WAN高速化装置の市場で米Blue Coat Systemsのシェアは約20%,米Packeteerのシェアは約10%。両者を合わせれば30%弱となり,シェアNo.1になる」。米Blue Coat Systems社長兼CEOのBrian NeSmith氏は2008年7月17日,米Packeteer買収の狙いを,こう説明した。

 買収による製品の統廃合により,米PacketeerのWAN高速化製品ラインは廃止され,米Blue Coat Systemsに一本化される。米Packeteer製品では,帯域制御/監視装置として歴史のあるPacketShaper製品を,そのまま継続して手がけていく。

 今回,買収によるシェア拡大の対象となったWAN高速化とは,WAN回線による遅延の影響を回避するためのIT技術分野である。TCPコネクション集約による3-Wayハンドシェイクの抑制やExchange ServerのMAPI(Messaging Application Program Interface)など特定プロトコルのラウンド・トリップの抑制,データ・キャッシュによる転送データ量の削減,といった手法がある。WAN高速化の中でも特に,CIFS(Common Internet File System)などネットワークを介したファイル共有の高速化を中核とする製品ジャンルはWAFS(Wide Area File Services)と呼ばれる。

 米Blue Coat Systemsは元々,Webアクセスを高速化するキャッシュ・プロキシ・サーバーで事業を開始し,セキュリティ・ゲートウエイとしての機能拡張を施し,2006年からWAN高速化機能を同社製品「Proxy SG」に追加した。データセンター間でのストレージのレプリケーション用途やモバイル・ノート型PCからのWANアクセスの高速化など,各種の用途がある。一方で,米Packeteerは2004年12月にTCP最適化製品「SkyX Gateway」の米Mentatを,2006年5月にWAFS製品「iShared」の米Tacit Networksを相次いで買収,WAN高速化市場に参入した。

 今回の買収合弁による製品ラインの統廃合により,WAN高速化製品は,Sky Xが備えていた一部機能を取り込みつつ,米Blue Coat Systems製品ラインへと一本化する。帯域制御装置PacketShaperは今後も,重要な事業の柱として継続する。2008年秋には,Proxy SGとPacketShaperの連携を強化し,例えばデータ圧縮などProxy SGの機能をどう適用した通信なのかをPacketShaperへと伝え,帯域監視/制御に役立てられるようにするとしている。

 なお,市場調査会社の米Gartnerによる2008年第1四半期のWAN高速化装置のシェアは,以下の通り。米Blue Coat Systemsと米Packeteerの合計が28.8%,米Cisco Systemsが21.1%,米Riverbed Technologyが18.7%,米Juniper Networksが5.4%,その他が26.0%,である。