米Google傘下のYouTubeは米国時間2008年7月14日,同社が米Viacomと係争中の著作権侵害訴訟において,提出を求められていた全ユーザーの視聴履歴を匿名化することで,両社が合意したと発表した。YouTubeは,ビデオ共有サイトに投稿されたViacomのビデオクリップが著作権を侵害しているとして,Viacomや同社傘下のMTVなどに訴えられており,全ユーザーの視聴履歴開示を求められていた。

 裁判所は7月1日に,ユーザーID,ビジターID,IPアドレスを含むユーザーの視聴履歴を提出するように命じたが,今回両社が合意に達したことで,ユーザーの身元特定につながる可能性があるこれらの情報は,別のデータに置き換える。

 Viacomをはじめとする原告側は当初,YouTubeのビデオ検索技術と検出技術のほか,ユーザーが作成/投稿した個人ビデオの開示も求めていたが,裁判所はその必要性を認めなかった。

 両社の係争は,Viacomが2007年3月にGoogleを提訴したことに端を発している。Viacomは,同社の保有するビデオクリップがYouTubeに無断で投稿されており,YouTubeが著作権侵害行為を防ぐ十分な対策を講じていないと主張していた。同社はコンテンツの削除に加え,損害賠償10億ドルと,今後の著作権侵害行為を阻止するための停止命令を求めていた(関連記事:ViacomがGoogleとYouTubeを提訴,「世界規模の著作権侵害行為」)。その後,全米音楽出版社協会(NMPA)や英国のRugby Football League(ラグビー・フットボール・リーグ)などが原告に加わり,集団訴訟へと発展した(関連記事:YouTubeに対する著作権侵害訴訟,全米音楽出版社協会なども原告に加わり大規模化)。

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