公正取引委員会は2008年7月15日,NTT東日本/西日本が提供する「ひかり電話」の一部広告で景品表示法の違反があったため,両社に排除命令を出した。問題の対象となったのは,NTT東西が2007年2月~11月ごろに配布したチラシやリーフレット,新聞広告/折り込みチラシ,ダイレクト・メールなど。「約3000種類の広告をチェックした」(公正取引委員会)結果,以下のような広告表示が見つかった。

 ひかり電話の利用に当たって,(1)FTTHサービスの利用料が必要であるにもかかわらずその旨の記載がない(または記載が明瞭ではない),(2)ひかり電話対応ルーターの利用料が必要であるにもかかわらずその旨の記載がない(同)(3)「全国一律3分8.4円」の通話料は対象が加入電話/ISDNだけであるにもかかわらずその旨の記載がない(同),(4)「ひかり電話A(エース)」に含まれる504円分の通話料は対象が加入電話/ISDNだけであるにもかかわらずその旨の記載がない(同)--である。

 これらは,景品表示法第4条第1項第2号(有利誤認)に規定する「役務の価格その他の取引条件について実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示」に該当するという。公正取引委員会は違反の程度や影響度を考慮した結果,最も厳しい措置となる「排除命令」をNTT東西に実施した(ほかの措置として「警告」と「注意」がある)。

 具体的には,(1)違反事実の発表(公示),(2)再発防止策の検討と周知徹底,(3)今後同様の表示をしないこと(不作為),(4)再発防止策の実施結果を公正取引委員会に報告すること――の4点をNTT東西に命じた。

 NTT東西は同日,公正取引委員会の排除命令を受け,「お客様ならびに関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを心よりお詫び申し上げます。広告表示の適正化に向けて取り組んで参ります」とコメントを発表した。

 なお,NTT東西は「DIAL 104」の広告表示でも2008年3月13日に公正取引委員会から排除命令を受けた。このため,「広告物を使用する前に専門組織で審査して広告表示の適正化を推進」「代表取締役を委員長とする専門の社内委員会で広告表示に関する全社的な方針の検討や広告表示の運用状況を確認」といった取り組みを6月から進めている。「これらを通じて引き続きお客様の立場にたった,お客様に分かりやすい広告表示を行って参ります」(NTT東西)としている。

 また総務省は同日,「ひかり電話の広告でより分かりやすい情報の提供と適正な表示を実施すること」をNTT東西に対して行政指導した。再発防止策を取りまとめ,8月8日までに報告することをNTT東西に求めた。さらに電気通信事業者協会(TCA)に対しても会員の通信事業者に対して同様の趣旨を周知することを要請した。

[発表資料(公正取引委員会,PDF)へ]
[発表資料(NTT東日本)へ]
[発表資料(NTT西日本)へ]
[発表資料(総務省)へ]