写真●Applogicで仮想アプライアンスを配置する画面の例
写真●Applogicで仮想アプライアンスを配置する画面の例
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 データセンターの企画・運営などを手がけるエクシードは2008年7月15日、仮想化技術を応用したホスティングサービス「myDC」を発表した。サーバー機に加えてストレージやネットワークといったシステム構成要素を仮想化し、必要に応じて割り当てる。物理サーバーを調達・導入する手間を大幅に軽減することで、システム開発期間の短縮やコスト削減を図れる。サービス開始は8月1日。

 同サービスでは、ファイアウオールや負荷分散装置、Webサーバー、データベースサーバーといったシステムの構成要素を利用者がGUIツール上で選択。各構成要素をGUI上で結ぶことでネットワークを構成する()。

 各構成要素にはプロセサやメモリーの使用量、ストレージ容量、ネットワーク帯域を自由に割り当てる。割り当て量は「プロセサの処理能力10%」などと細かく指定できる。

 ファイアウオールやデータベースサーバーといったシステム構成要素の実体は「仮想アプライアンス」だ。仮想アプライアンスとはアプリケーションとOSのメモリーイメージを特定の仮想マシン用の動作ファイル形式で保存、必要なときに復元する利用形態である。

 仮想アプライアンスを使うことで、物理的な配線やサーバー機の設置などの作業を経ずに、必要に応じてすぐにシステム資源を配置・利用できる。1台の物理サーバー上で複数の仮想アプライアンスを稼働できるため、物理サーバーの使用効率も高められる。

 「携帯電話用のコンテンツやオンラインゲームなど、新たなサイトを次々に立てる必要のある事業者に最適だ」。エクシードの鈴木義則 代表取締役はこう話す。鈴木氏によると、物理サーバーを使う場合に比べてサーバーの使用台数は3分の1程度、システム基盤の設計・構築費用は最大で半額程度に抑えることができるという。同サービスの利用料金は、初期費用、月額料金ともに48万円から。

 仮想アプライアンスを使ったシステム資源の自由な配分を実現するため、エクシードは米3テラの仮想化資源管理ツール「AppLogic」を使う。国内ではネットワンシステムズが6月に販売を開始した製品だ。

 3テラのバリー・リン会長兼CEO(最高経営責任者)はAppLogicを「クラウドコンピューティング時代の“メタOS”だ」と表現する。物理的なハードウエアと仮想アプライアンスの間をとりもって、物理資源の配分や利用状況の監視、処理負荷の分散、データのミラーリングといった基本機能を提供する。物理資源を意識せずに必要なサービスを提供するクラウドコンピューティングの基盤技術として、注目が高まりそうだ。

 myDCの販売目標は年内で100件。携帯電話向けサービス事業者に加えて、ゲームやアニメなどの期間限定キャンペーンサイト構築といった需要を見込む。