市場調査会社のシード・プランニングは2008年7月14日、08年3月時点の病院・診療所など医療機関におけるレセプト用コンピュータ導入と、電子媒体やオンライン経由で請求する電算処理状況の調査結果を発表した。レセプトとは保険診療の報酬を請求するための明細書。病院・診療所のレセプト・コンピュータ(レセコン)導入率は80%だった。しかしレセプトの電算処理状況は診療所では15%と、オンライン請求の原則義務化まで3年、完全義務化まで5年を切りながらレセコンの導入に比べ進んでいないことが明らかになった。

 今回の調査では病院・診療所、歯科診療所、調剤薬局などのレセコン導入率、オンライン化を含めたレセプトの電算処理状況を調査。オンライン化とは導入したレセコンをネットワークに接続し、レセプトをネットワークを介して保険組合などの保険者に請求すること。診療所は入院患者を受け入れるベッドがないか、20床未満の施設を指す。レセコン導入率は病院・診療所で80%、歯科診療所で70%、調剤薬局で90%と7割を超えた。しかしレセプトの電算処理状況は診療所以外では病院で30%強、調剤薬局では65%だった。

 シード・プランニングは今後レセプトのオンライン化が完全義務化される13年まで、関連製品の市場は急速に成長すると予測する。11年の原則義務化までに病院のオンライン化が完了し、その後診療所、歯科診療所、調剤薬局についても13年までに完了するとみる。

 厚生労働省では08年4月から段階的にレセプトのオンライン化を義務付けている。08年4月からまずは400床を超える大規模病院がこの対象となった。09年4月にはレセコンを保有し電算処理などに対応済みの400床未満の病院と、レセコンを保有する調剤薬局が対象。10年4月にはレセコンを保有するが電算処理などに未対応の400床未満の病院と、レセコンを保有する診療所が対象。11年4月には少数例外を除くすべての医療機関で原則としてレセプトのオンライン化が義務付けられ、13年4月からは例外がなくなる。

 今回の調査は08年4月~6月まで、医療機関におけるレセコンの導入数、電算処理状況などをレセコンベンダーに聞き取り、公開情報と合わせてまとめた。

■変更履歴
当初レセプトの「オンライン化状況」としていましたが、正しくは「オンライン化を含む電算処理状況」でした。またオンライン化のスケジュールで「10年4月にはレセコンを保有する400床未満の病院と診療所」としていましたが、400床未満の病院が対象となる時期に誤りがありました。正しくは09年4月にレセコンを保有し電算処理などに対応済みの病院、10年4月にレセコンを保有するが電算処理などに未対応の病院が対象となります。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。 [2009/05/08 12:30]