総務省は2008年7月11日、2008年版の情報通信白書を発表した。2008年版では、ユビキタス化の進展が地域経済に与える影響について初めて取り上げている。情報通信白書は、総務省のサイトで見ることができる(関連リンク)。

 特徴は、都道府県ごとの情報通信資本装備率に着目して、日本のGDPの伸びをシミュレーションした点。情報通信資本装備率とは、就業者一人当たりの情報通信資本ストックのこと。シミュレーションでは、岐阜や秋田など情報通信資本装備率が低い都道府県に情報通信資本を重点的に蓄積するほうが、東京や愛知など一人当たりの県内総生産が高い地域に蓄積するよりも、GDPの伸びが大きいという結果になった。

 この結果について総務省情報通信政策局の新井孝雄 情報通信経済室長は「80年代後半から90年代にかけては、首都圏のごく一部の地域だけが経済成長を牽引する『富士山型』のモデルが有効だったが、今後は各地域の経済力を全体として底上げしつつ経済成長を達成する『八ヶ岳型』の成長モデルが有効であることを示唆している」と話す。

 そのほかにも、市区町村のICT活用状況の調査では、離島を含む市区町村で平均をとった場合、「行政サービス」「住民交流」「医療」など調査した8つの指標すべてにおいて、離島を含まない市区町村よりもICT活用が進んでいる、などの意外な結果が出ている。