米Yahoo!は2008年7月12日(米国時間),米Microsoftからの新たな提携案を拒否したと発表した(関連記事:Icahn氏と米MicrosoftがYahoo!に共同提案,検索事業売却などを迫る)。この提案は,MicrosoftがYahoo!の検索事業を買収し,投資家のCarl Icahn氏が残りの事業を掌握するという「何ともばかげた」ものだった。MicrosoftはYahoo!に対し,「無条件で受け入れるか,拒否するかどちらかしかない」と24時間以内の回答を迫った。当然Yahoo!は,即座に受け入れを拒んだ。

 Yahoo!会長のRoy Bostock氏は,提案拒否を表明した声明のなかで「MicrosoftとCarl Icahn氏の奇妙でいい加減な協力関係は,当社の株主の利益など全く考えていない」と述べた。「この一貫性がなく,予測不可能な対応は,これまでMicrosoftと交渉をしてきて意外に思わなくなった。株主に最良の利益をもたらさない提案などに,決して屈したりしない」(Bostock氏)

 Microsoftの示した条件は,Yahoo!が検索事業をMicrosoftに売却し,役員会のメンバーをIcahn氏の選んだ人物と入れ替える,という内容だった。Yahoo!がこの条件を飲むなど,とうてい考えられない。条件の裏に隠されているが,MicrosoftはYahoo!の将来像を株主に示すことで,役員会の転覆を狙うIcahn氏の側に立つよう迫ったのだ。

 この提案には,Yahoo!の役員会を直接侮辱するという意図もある。Microsoftは「Yahoo!の役員たちが自己保身ばかり考えており,利益の最大化を目指す株主の代表として機能していない」と評した。事実Microsoftは,Yahoo!の現職役員たちと交渉することを拒絶している。MicrosoftがあからさまにIcahn氏を支持し,少なくともYahoo!の部分買収をいまだ真剣に考えているという状況は,Yahoo!の株主を大きな変化へと押し流す最後の潮流となる可能性がある。