米Yahoo!最高経営責任者(CEO)のJerry Yang氏は,同社役員会の転覆を狙う投資家Carl Icahn氏の側に立った米Microsoftを,「当社の混乱を企てている」と激しく非難した(関連記事:Microsoft,Yahoo!役員会の転覆を狙う投資家Icahn氏に加勢)。Icahn氏によるYahoo!役員の入れ替えが実現したら,Yang氏は自分の作った会社から追い出されてしまうからだ。

 Yang氏は米Wall Street Journal紙の取材に対し,「Icahn氏と彼の選んだ役員を信任するなど,非常に悪い判断だ」と述べた。「私は再び安定したYahoo!を実現できると考えているし,再び会社の建て直しに取り組みたい。当社を混乱させるMicrosoftの動きは,次第に意図的なものになってきた。これはとても残念なことだ」(Yang氏)

 いまだ終わらないMicrosoftとYahoo!の買収劇で,両社は物別れになった交渉を何度となく再開させた。それにもかかわらず,Microsoftは現Yahoo!役員会との交渉を望んでいないとしている。Yang氏は,こうしたMicrosoftの態度を「不可解」と表現した。同氏によると,交渉を打ち切ったのはMicrosoftだという。

 Microsoftは2008年7月7日(米国時間),Icahn氏支持を表明した発表で「(Yahoo!との)合意形成は不可能と判断した」として以来,沈黙を守っている(関連記事:Yahoo!株主のIcahn氏とMicrosoft,「新取締役会が選出されれば交渉再開」)。もっとも,Yahoo!が株主総会で役員選挙を実施した後ならば,Microsoftは大規模提携の件を新役員会と交渉しようとするだろう。つまり,Microsoftは今もYahoo!に対する関心を失っていないのだ。ただし,現在の役員が8月1日の役員選挙で落選しない限り,交渉の席には戻らない

 役員選挙で何が起きるかは,まだまだ不透明だ。支持する陣営を明らかにしたYahoo!株主は,今のところほとんどいない。また,Icahn氏が現役員会を転覆するなどあり得ないと思われていたが,Microsoftの支持を取り付けたことで急に現実味を帯びてきた。