写真●シマンテックの戦略発表会で登壇した加賀山進社長
写真●シマンテックの戦略発表会で登壇した加賀山進社長
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 セキュリティ・ソフトで知られるシマンテックは2008年7月9日,2009年度の戦略発表会を行った。今年4月に就任した加賀山進社長(写真)は,「2009年度をエンタープライズ向けビジネス戦略の基盤固めと位置づけ,主に顧客満足度の向上を目指す」と語った。具体的には,「(1)サービス・品質の向上」「(2)ビジネスのしやすさの向上」「(3)シマンテックの認知度の確立」の三つの分野に注力するという。

 (1)では,日本における技術サポート拠点であるJapan Engineering Centerを拡充する。パートナ企業から寄せられたセキュリティ問題に対するパッチを日本国内で作成して,従来の半分程度の期間で提供することを目指す。主要7製品に担当エンジニアを配置して,セキュリティ・パッチの開発やサポートに専念させる。そのためJapan Engineering Centerでは,新たに人員を10数人増やす予定だ。「バーチャリゼーションラボ」と呼ぶ研究施設を7月末に開設することも発表した。このほか2008年中に,ユーザー企業同士が意見交換できるようなWebフォーラムを開設し,ユーザーが安心してサポートを依頼できるように技術者の認定資格制度を導入する予定である。

 (2)は,パートナ企業へのサポート窓口の統一や販売プロセスの見直しを図る。2009年度中には,買収した企業のサポート窓口などを統一し,製品ごとにまちまちだった注文やサポートなどの販売プロセスを全面的に見直す。

 (3)では,認知度向上やパートナ企業との新しい関係を築くために,販売モデルを一新する。「新しい製品やソリューションの販売が軌道に乗るまでは,我々が責任を持って担当する。市場に認知されて売れるようになってからパートナ企業にお任せしたい。今までは製品の認知と販売をパートナ企業に頼っていた」(加賀山社長)という。そのうえで,ソフトウエア単体の製品販売だけでなく,複数製品を組み合わせたソリューション販売を軸にしていきたいと話す。

 最後に,加賀山社長は「日本では企業向け製品と個人向け製品の売り上げが半分半分だ。今回の三つの施策を柱として,企業向け製品の売り上げを海外並みの7割にしたい」と話す。