写真1●「Summit TV」に登場した福田総理
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写真2●マルチワンセグで視聴可能な13チャンネル
写真2●マルチワンセグで視聴可能な13チャンネル
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写真3●視聴可能なのは国際プレスセンターの一部の場所のみ
写真3●視聴可能なのは国際プレスセンターの一部の場所のみ
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 総務省は2008年7月7日に開幕した北海道洞爺湖サミットで、マルチワンセグメントサービスの実証実験を実施している。福田首相の会見などをリアルタイムに中継する「Summit TV」を独自チャンネルとして流す(写真1)。そのほかに国内外の放送局合計13チャンネルを放送する(写真2)。

 サミットの国際メディアセンター(IMC)で、KDDI研究所が開発した専用携帯端末を200台貸し出す。この専用端末は、既存の携帯電話に手を加えたもので、携帯電話機能は使用できない。

 放映するのは、Summit TVのほか、CNN、BBC、TV5などG8各国のニュース局が7チャンネル、北海道ローカル局のワンセグ放送を再配信する5チャンネルである。各チャンネルはデータ放送も実施。リンクをクリックすると各局のWebサイトにアクセスできる。ただしマルチワンセグが利用できるのは、IMCの一部の場所だけである(写真3)。

 マルチワンセグは、ワンセグ放送の多チャンネル版。ワンセグ放送はデジタル放送1チャンネルに割り当てられる6MHzの帯域の13分の1、つまり429kHzを使って放送されている。この13分の1を「セグメント」と呼ぶため、「ワンセグ」なのだ。残りの13分の12は地上派デジタル放送用である。マルチワンセグは13分割する点は同じだが、13セグメントすべてを個別のモバイル放送に使うことを想定している。

 従来はワンセグ放送をするためには1セグメントしか使用しないにもかかわらず、1チャンネル分、つまり6MHzの帯域を確保する必要があった。放送局が複数になると、それだけ多くの帯域が必要になってしまう。マルチワンセグが実用化されれば、6MHzあれば13のチャンネルの放送が可能になる。モバイル放送の自由度が高まり、特定地域だけのサービスなどが提供しやすくなるわけだ。

 総務省はサミットが開催される北海道洞爺湖留寿都村内をユビキタス特区に指定。マルチワンセグの技術的検証やほかのサービスへの影響分析を目的に、実証実験を開始した。海外メディアに日本の放送・通信技術をアピールする効果も狙う。