NTTデータとパナソニック モバイルコミュニケーションズは2008年7月2日、パナソニック モバイルの100%子会社で、携帯電話端末の開発を手がけるパナソニックMSE(横浜市)の発行済み株式の60%をNTTデータが譲り受け、新会社として発足させると発表した。新会社の名称は未定で、発足は10月1日。パナソニックMSEの事業と社員の雇用は維持する。新会社の役員構成はNTTデータから取締役4人、監査役1人、パナソニック モバイルから取締役3人を派遣する。

 今回の買収でNTTデータは、中期経営計画にあげた「組み込み分野の強化」を実現する。パナソニック モバイルは商品開発力の強化を狙う。大規模化する携帯電話のソフトウエア開発において、NTTデータが保有するプロジェクトマネジメントや品質管理のノウハウを新会社に移転させることで可能にする。「ソフトウエアが大規模化するほど、当社のノウハウが生きる」とNTTデータの荒田和之常務は強調する。

 背景には、携帯電話端末に求められる機能の高度化と多様化がある。「これまでは通信機能、OS、ミドルウエアといった部分の技術力が付加価値だったが、今後はアプリケーションやネットサービスが差異化のポイントになる」とパナソニック モバイルの和田良一副社長は説明する。パナソニックMSEでは通信機能、OS、ミドルウエアといったプラットフォーム系技術者からアプリケーション技術者への人員シフトを実施しており、その転換にNTTデータグループのノウハウを生かしたい考えだ。

 新会社を加えることでNTTデータは、2011年3月期までに組み込み分野での売り上げを300億円にすることを目指す。現在のNTTデータの組み込み事業は約100億円、パナソニックMSEの売上高は130億円。