NTTコミュニケーションズの和才博美社長
NTTコミュニケーションズの和才博美社長
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 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の和才博美社長は2008年7月2日,東京都内で開催中の「IT Japan 2008」で講演し,同社の経験をもとに,日本企業のグローバル対応の秘訣を語った。NTT ComはNTTグループの中で国際通信サービスを受け持ち,現在,22カ国51都市に子会社と関連会社を展開している。

 和才社長は「『と』と『が』の違いを認識しなければならない」と指摘する。

 これは「海外へ旅行に行くと『日本と違う』と思う人が多い。一方,海外生活を長く経験した人は『日本が違う』という。グローバルの中で『日本だけが違う』という視点を持った上で,日本型の良い部分をいかに取り入れてゆくかが重要だ」と説明した。

 「日本型モデルを海外へ持っていっても文化や風習が異なるのでうまくいかない。日本から海外へ行くと『なぜ(日本のように)できないのか』と言う人がいるが,それは逆で,『できないこと』を前提とするべきだ」(和才社長)。

 地域特性の違いや多様性の理解も重要だという。通信の世界を見ても,「昨年インドへ行ったが,インターネットは月20万円。13億人の人口がいるのに,固定電話には4000万の加入しかない。だから携帯電話が売れる」と例をあげ,「100カ国100様」であるとする。

 「まずは違いを理解しないとすべては始まらない。働くという意識も国によって違う。郷に入っては郷に従えの部分はある」(和才社長)。

 その中で,現地の従業員と徹底的に議論して,高度な品質管理のような日本型経営の良い部分の価値を認識してもらう必要があるという。また,「(従業員)個人が伸びることが,会社も伸びることになるというWin-Winの関係であることを理解してもらうのが大切」と強調した。