総務省は2008年7月1日,モバイル市場の活性化を目指した施策の進ちょく状況を確認する「モバイルビジネス活性化プラン評価会議」の第2回会合を開催した。携帯電話の販売モデルやMVNO(仮想移動体通信事業者)の推進など,総務省が2007年9月に公表した「モバイルビジネス活性化プラン」(関連記事)の施策について各項目を検証し,今後の方向性を議論した。

 市場で割賦販売が浸透する契機となった活性化プランの「販売モデルの見直し」については,通信事業者が販売店に支払う販売奨励金が減少傾向にあると,総務省の担当者が説明。同省の算出によると,NTTドコモの販売奨励金は2006年度の1台あたり平均3万7000円から2007年度は同3万1000円に減ったという。

 会議に参加したモバイルビジネス研究会の構成員は「ソフトバンクモバイルが通信料金から端末費用を差し引く料金プランを導入しており,NTTドコモなどの料金プランとは大きく異なる」と意見を寄せて,活性化プランの方針に合うかを確認した。総務省は「活性化プランでは,端末の料金と通信料金を明確に分けることを趣旨としている。ソフトバンクモバイルの料金体系では端末全体の値段が分かる」ことから,活性化プランで定めた最低限の要求は満たすとした。

 「初期費用の安さから,24カ月の割賦販売で購入するユーザーが増えている」という意見もあった。買い替えサイクルが長くなるため,今年から来年にかけては端末の販売台数が落ち,販売店の淘汰が進む可能性もあるという。別の構成員も販売上の事業モデルについて慎重に検証するべきという声を寄せた。

 MVNOについては,テレコムサービス協会のMVNO協議会を代表して日本通信の福田尚久常務取締役CMO兼CFOが,MVNO推進に向けた課題を説明した。MNO(移動体事業者)は法令が定める以上の端末の要件をMVNOに要求するべきではない,端末のメールやブラウザ機能はMVNOが活用できるようにソフトウエア上の外部インタフェースを設けるべき,といった見解を示した。

 MVNOの参入企業を増やすには「ビジネスサイズが小さいのでは。MVNOで一定の収益が回収できるのか」という構成員からの質問については,「携帯電話の販売店が海外の低価格な端末を調達し,自分たちだけが扱うモデルを発売したいという要望もある」(福田CMO兼CFO)と回答。米グーグルのAndroidなどオープン化されたプラットフォームが浸透すれば,機能面の障壁が少なくなることから,より多くの参入が期待できると展望した。