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 「現在の日本は生活、産業、地域のあらゆる側面で、ガラパゴス諸島の生き物のようになっている。このままでは日本企業がグローバル化を進めることは難しい」。野村総合研究所(NRI)の藤沼彰久取締役会長兼社長(写真)は7月1日、ホテルニューオータニで開催の「IT Japan 2008」の講演でこう述べた。

 藤沼会長は現在の日本をガラパゴス諸島のイグアナに例えた。「誰も島に来ないうちはエサが落ちてくるのを待つだけでよかった。今は違う。外から競争相手が続々とやって来て、ただ待っているだけでは、自分がエサになって食べられてしまうだけだ」と語った。

 さらに「グローバル化が進んでいる製造業でさえも、海外売上高比率は20.2%。非製造業においては3.1%しかない。良い悪いは別として、携帯電話や電子マネーのように日本独自に進化してきた分野が、国際競争で後塵を拝す結果となっている」と続けた。

 藤沼会長はこうした現状から脱却するために、「まずは企業として基礎体力をつけなければならない」と言う。中でも、サービス業では、米国より生産性が低い点を指摘。その上で、「国際競争力と国際共生力の二つがキーワードになる」と説く。

 これまで日本企業は高品質・高価格な製品/サービスを売りにしてきた。今後の競争相手は、BRICsに代表される“エマージング”な経済諸国である。中国やインドといった国々は2015年には1人当たりのGDPが3000ドルを超えるとされる。「2015年までに、世界市場を見据えたビジネスモデルを構築することが今後の成長を左右する。日本企業は自ら第三の開国をしていくべきだろう」と講演を締めくくった。