写真●米ネットクラッカー・テクノロジーのアンドリュー・ファインバーグCEO(左)とNECの矢野薫社長(右)
写真●米ネットクラッカー・テクノロジーのアンドリュー・ファインバーグCEO(左)とNECの矢野薫社長(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 NECは2008年6月27日、通信事業者向けシステムを手がける米ネットクラッカー・テクノロジーを買収すると発表した。買収額は約3億ドル(約320億円)で、9月をメドに買収を完了させる。海外通信事業者を顧客に抱えるネットクラッカーを買収することで、NECは通信事業者向けシステムの海外展開を強化する。

 ネットクラッカーが得意とするのは、通信サービスの運用支援システムの構築である。固定電話や携帯電話、データ通信などを融合した新たなサービスを通信事業者が提供する際、サービス内容や受注、販売状況などを一括管理できるシステムを提供する。仏フランステレコムや米スプリント・ネクステルなどへの導入実績があり、2007年度の売上高は約100億円(純利益は約25億円)である。

 米ガートナーの調査によれば、通信事業者向けの通信サービス導入・運用支援システム市場は約2兆5000億円(2007年)で、2011年まで年率6~7%で成長するという。NECは今回の買収により、今後5年間で約2000億円の売り上げを積み上げる計画だ。

 NECの連結売上高に占める海外売上高は約25%。通信事業者向けに限ると約37%である。「これまでの海外事業はネットワーク・インフラの構築が中心だった。今回の買収によりシステム構築まで事業範囲が広がる。海外売上高比率を3年後には全体では30%、通信事業者向けは40数%に上げたい」と、矢野薫社長は意気込む。