米Yahoo!は,米Microsoftの提案を蹴って米Googleと提携を結んだことについて説明する株主宛ての書簡を,米国時間2008年6月25日に公開した。Googleとの提携は大幅な営業キャッシュ・フロー増加をもたらすが,Microsoftとの提携では十分な営業キャッシュ・フローの拡大が見込めなかったとして,Googleとの提携の方が戦略面でも財務面でもはるかに優れていると主張した。

 Yahoo!は6月12日,Microsoftが同社買収案撤回を5月に正式表明(関連記事:【速報】Microsoft,Yahoo!への買収提案を撤回)した後も続いていた交渉を打ち切り(関連記事:Yahoo!とMicrosoftの交渉打ち切り,「全社的または部分的買収は無い」),オンライン広告に関してGoogleと提携を結んだことを発表した(関連記事:Yahoo!がGoogleのオンライン広告を採用へ,非排他的提携で合意)。この提携により,最初の1年で営業キャッシュ・フローが2億5000万ドル~4億5000万ドル拡大すると見込んでいる。

 Yahoo!会長のRoy Bostock氏とCEOのJerry Yang氏は書簡の中で,Googleとの提携は戦略的にちょうどバランスがとれているとコメントした。「財務的な成果を向上しつつ,戦略目的を推進できる。当社の目標は,ほとんどのインターネット・ユーザーにとって最初に訪れる場所であり,広告主がオンライン広告を必ず購入したくなるような価値を提供することだ」(両氏)

 一方Microsoftの提案は,Yahoo!の検索事業を10億ドルで買収するというものだったが,「Microsoftにとっては有益かもしれないが,Yahoo!には大きなマイナスになる」と判断したことを明かした。検索とディスプレイ広告の融合というYahoo!の展望に必要不可欠な検索事業を手放すことになり,Yahoo!株主への価値は,Microsoftが示したよりも大幅に下がると結論づけた。

 最後に,委任状争奪戦を仕掛けている株主のCarl Icahn氏については,同氏と同氏が推す取締役候補者がYahoo!に新たな価値を与えるとは考えにくいと批判。現取締役の留任に投票するよう株主に呼びかけた。

[株主宛ての公開書簡]