NECは2008年6月24日、ミドルウエア群の新版「WebOTX V8」の販売を開始したと発表した。新版の特徴は(1)NGNミドルウエア共通APIのサポート、(2)企業向けJava環境の標準「Java EE 5」への対応、(3)ESB(エンタープライズサービスバス)の性能向上――である。

 一つめのNGNミドルウエア共通APIとは、通信事業者が構築している次世代ネットワーク(NGN)のサービスを制御するためのAPI。NGNでは帯域制御や回線認証といった、通信網の制御機能をユーザーが利用できる。

 今回販売を始めたNGN接続用アプリケーションサーバー・ソフト「SIP Application Server」と「SIP Call Control」の新版を使うと、通信事業者が提供するSIP APIを隠蔽してWebサービスやJavaによるAPIとして利用できるようになる。NGN上の映像配信システムの開発や、業務システムのIP電話との連携などへの適用を想定しているという。価格は個別見積もり。

 二つめのJava EE 5対応はJavaによるシステム開発を省力化する。WebOTXシリーズのアプリケーションサーバー・ソフト「Application Server」の新版は国内ベンダーで初めてJava EE 5に対応した。コード量を従来比で30%削減できるという。

 企業規模の小さい順に「Web」「Standard-J」「Standard」の3種類を用意する。Web版はJava EE 5のWebコンテナだけに対応した小規模なWebシステム向けの製品。価格は12万円から。Standard-J版はJava EE 5に対応した中~大規模のWeb業務システムがターゲットで、価格は50万円から。Standard版はJava EE 5に加え、C++とCOBOLアプリケーションを動作させられる。価格は200万円から。

 三つめのESBの性能向上は、WebOTXシリーズのESBソフト「Enterprise Service Bus」の新版で実現した。サービス間のメッセージ転送方式を最適化した。処理能力を最大3倍に向上できるという。同時に大容量ファイルの転送に対応。動画などマルチメディアコンテンツの連携や、バッチ処理のSOA(サービス指向アーキテクチャ)への移行を容易にする。価格は400万円から。