地上波放送のデジタル移行に伴って国が経済弱者に対して実施する支援策の内容が,2008年6月23日に事実上固まった。(1)地上アナログ放送を視聴している生活保護世帯を対象に,アナログテレビで地上デジタル放送を視聴するために必要な簡易チューナーを1台だけ無料で現物給付する,(2)地上デジタル放送の受信環境が整っていない生活保護世帯については簡易チューナーの配布に加えて,室内アンテナを給付したり,屋外アンテナを改修したりする支援を行う,(3)共聴設備を利用している場合は,その改修費のうち支援を受ける世帯が負担する金額を給付する──というものである。国は経済弱者への支援策を2009年度から実施できるようにするため,今後具体的な支援の仕組みや方法などを検討する。

 情報通信審議会情報通信政策部会の「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」の主査を務める村井純・慶応義塾大学教授が,6月23日に開催された情報通信政策部会の第30回会合において,国の経済弱者への支援策を盛り込んだ地上デジタル放送推進に関する「第5次中間答申案」を説明した。政策部会は同日に,答申案を了承した。これにより,検討委員会が作成した支援策が,情通審の第5次中間答申に盛り込まれることが確実になった。情通審は6月27日に,第5次中間答申を総務省に提示する。