シトリックス・システムズ・ジャパンは，仮想マシン・ソフトと画面情報端末ソフトを組み合わせたデスクトップ仮想化ソフトの新製品「Citrix XenDesktop」を，2008年6月23日に出荷した。価格は，最も安価な「Standard Edition」で5ユーザー同時接続の最小構成時に7万2250円（税別）。開発会社は，米Citrix Systems。
XenDesktopは，Windows XP/Vistaのデスクトップ・イメージを画面情報端末ソフト経由で遠隔操作できるようにするミドルウエア。画面情報端末プロトコルは，XenApp（旧称Presentation Server）で使われているICAを流用。遠隔操作するWindows OSは，ブレードPCなどの物理マシンのほか，XenServerなどの仮想マシン上で動作していても構わない。「Desktop Receiver」（ICAクライアント）を導入した画面情報端末から，「Virtual Desktop Agent」を導入したWindows XP/Vistaを，ICAを用いて遠隔操作する。
今回，ICAクライアントに対するICAサーバー機能，つまり遠隔操作される側に必要なサーバー機能が，初めてデスクトップOS上で動作するようになった。つまり，同社のICAを用いて，MicrosoftのRDPのようにWidnows XP/Vistaを遠隔操作できるようになった。元々はWindows NTのマルチユーザー環境向けに作られたXenAppだけが持っていた機能である。さらに，今回のICAクライアント新版（Windows版）では，遠隔操作による仮想デスクトップのシャットダウン手続きと連動してローカル端末のWindowsをシャットダウンする新機能「フル・スクリーン・オンリー・モード」も実現した。
仮想マシンと組み合わせて使う“仮想デスクトップ”向けの機能としては，仮想マシン・ソフトのXenServerを標準で備えるほか，個々のユーザーの画面情報端末とアクセス先となる仮想マシン/Windowsとを1対1でヒモ付けて管理するVDI（Virtual Desktop Infrastructure）機能を備える。
機能上位版の「Advanced Edition」（税別で17万4250円から）と「Enterprise Edition」（同25万9250円から）は，単一のWindows OSイメージを複数ユーザーで共有するプロビジョニング機能を持つ。100人のデスクトップ・イメージを1人分のイメージのコピーで代替するというように，従来であればユーザーごとに独立していたOSイメージを共有し，ストレージ領域を削減する。さらに，最上位の「Enterprise Edition」では，「XenApp for Virtual Desktops」を含む。
シトリックス・システムズ・ジャパンは，XenDesktopとXenAppを組み合わせて動作させるデモンストレーションを実施した。XenServer上で動作し，Virtual Desktop AgentをインストールしたWindows Vistaに対して，Desktop Receiver（ICAクライアント）機能を持つ画面情報端末からアクセスした。ここで，遠隔操作しているWindows Vistaから外部のXenAppサーバー上のInternet Explorer 6を利用して見せた。
同社はまた，2008年7月末にXenServerの新版「Citrix XenServer 4.1」を出荷する。新版では，XenAppをXenServer上で動作させた場合の性能を向上させた。従来は物理サーバーを用いた場合と比べると，XenServerの仮想マシン環境では40％～60％程度のオーバーヘッドがかかっていたが，新版では約8％程度のオーバーヘッドで済むとしている。さらに，物理サーバー/仮想サーバーを問わずサーバー間でのサーバー負荷の再配置を可能にした最上位エディション「Platinum Edition」を新たに追加した。最小構成価格は，Platinum Editionが85万円（税別），Enterprise Editionが51万円（税別），Standard Editionが15万3000円（税別）。
