「小野(俊彦)氏の退任は、解任ではなく辞任だ」。富士通の黒川博昭代表取締役社長は、2008年6月23日に開いた株主総会で小野元副社長退任についてこのように語った(関連記事)。総会の前に株主から小野氏退任に関する質問状が届いており、それに答えた。

 4月初旬、大手企業の子会社の偽造手形の受取人となっていた財団法人「科学技術教育協会」の理事長を小野氏が務めていることが「あるマスコミからの問い合わせがあったことがきっかけで判明した」(黒川社長)。小野氏個人も手形の受取人になっていたという。小野氏に説明を求めたところ、「当初は『全く知らない』と説明していたが、その後『これまで会ったこともない人物に理事長就任を強く要請され、就任承諾書と印鑑を渡してしまった』とまったく納得できない説明をした」(黒川社長)という。

 そこで黒川社長が「辞任してほしい」と伝えたところ、小野氏は「会社に迷惑をかけ、大変申し訳ありませんでした」と話し、その翌日に退任届けを提出したという。そのため黒川社長は「小野氏の退任は辞任であり、解任はしていない」と話した。辞任の理由を「一身上の都合」とした理由についても、「小野氏本人が提出した退任届けにその文言があったため、そのように発表した」(黒川社長)と説明した。