ITベンダーのクレオは2008年6月20日、業務パッケージ・ソフト「ZeeM」の強化策を発表した。年商300億円以下の中小企業向けにSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)としてZeeMシリーズを提供するほか、従来の製品を補完する新製品を投入する。「これからのシステム開発はパッケージの利用が中心になる。これまでの経験を生かしてパッケージ事業を強化し、受託開発が中心である当社の事業を変えていきたい」と土屋淳一社長は話す。

 ZeeMは年商300億~500億円の中堅企業を対象にしたパッケージ。会計、人事・給与、購買のモジュールを持つ。今回SaaSとして提供するのは、「ZeeM会計」「ZeeM人事給与」など、すでにパッケージとして提供している機能が中心になる見込み。SaaSを提供するためのプラットフォームを自社で運営するほか、「パートナーが用意するSaaS用のプラットフォーム向けにアプリケーションを提供する可能性もある」(林森太郎プロダクト事業部長)。

 中小企業向けにはSaaSに加えて、サーバーにインストールして利用する従来型のZeeMを対象とする「スリムパック」を提供する。事前にパラメータの設定などを済ませたテンプレートを用意し、短期間での導入を支援する製品だ。SaaS、スリムパックとも08年10月から提供する。

 既存のZeeMの主力顧客である中堅企業向けには、新アプリケーション「決算開示短縮パック」と「パートアルバイトマネージメントパック」を提供する。決算開示短縮パックは、ZeeM会計で処理した決算データを開示書類作成システムと連動させる機能を提供する。パートアルバイトマネージメントパックはZeeM人事給与と連携し、パートやアルバイト社員のシフトや就業の管理を支援する。「販売実績の多い流通業への導入を加速するために開発した」(林事業部長)製品だ。両製品とも8月に出荷予定である。

 クレオはほかに、ZeeMを利用する顧客を中心にアウトソーシング・サービスを6月に開始する。ZeeMを利用するハードウエアなど含むシステムの運用をクレオが代行する。林事業本部長は、「従来はアプリケーションだけを提供していたが、導入後の運用サービスに対するニーズも高いと判断した」とアウトソーシングに参入した理由を説明する。

 新サービス、製品の価格は未定。SaaSについては「ZeeM会計を導入する場合、企業規模によるが数百万円以上かかる。この50~60%の費用で提供していきたい」(林事業部長)とした。クレオは今回の製品強化により、ZeeM関連の事業で年間10億円以上の売り上げを確保する計画だ。

 クレオは05年にZeeMを販売。「ZeeMの前身の製品から数えるとパッケージの販売に参入して10年以上になる」(土屋社長)。導入実績は220社以上という。