中国政府は,2008年8月1日に施行する独占禁止法(独禁法)の効力発生を待つことなく,米Microsoftに対して同法にもとづく調査を開始した。中国は,世界中で最も海賊版ソフトウエアが氾濫している地域である。その中国側は,現地で「Windows」「Office」製品の価格が非常に高いため,調査を行っているという。

 中国の国家知識産権局(SIPO:State Intellectual Property Office)の広報担当者は,米Associated Press(AP通信)に「Microsoftに対するわれわれの調査は,現在実施中」と答えた。「調査結果は後日公表する」(SIPOの広報担当者)。

 SIPOによると,中国ではパソコン本体よりもWindowsとOfficeの方が高いという。ある作業委員会も,MicrosoftのWindowsとアプリケーション・ソフトウエアの抱き合わせ販売行為を調査する予定だ。

 中国政府は2007年に独禁法を成立させ,外国企業の中国企業買収が国家安全保障を脅かしたり市場独占につながったりする場合は,その買収を禁止する,といった制限事項を設けた。ある中国の調査会社は2007年,中国で海賊版ソフトウエアが横行する理由をソフトウエアの価格が高過ぎるため,と結論づけた。さらに,中国政府が長いあいだ海賊版ソフトウエアを完全に無視していたことも,海賊行為をはびこらせた大きな理由の一つだろう。

 中国政府は,ほかのソフトウエア・メーカーにも同様の調査を行っているはずだ。ただし,具体的な会社の名前はまだ判明していない。