写真●ネクスウェイ,マーケティングソリューション推進部開発営業グループマネージャーの浅井敏宏氏
写真●ネクスウェイ,マーケティングソリューション推進部開発営業グループマネージャーの浅井敏宏氏
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 ネクスウェイ,マーケティングソリューション推進部開発営業グループマネージャーの浅井敏宏氏(写真)はNETMarketing Forum Spring 2008において,「IT業界向けLPO講座『コンバージョン最大化への5ステップ』」と題した講演を行った。浅井氏はまず,BtoBに特化したネットマーケティングにおけるLPO対策の効果について,同社がIT業界クライアント向けに実施したLPOサービスによるアクション率アップの平均は3.72倍であることを明らかにした。

 そのうえで,「BtoBビジネスを展開する企業のWebサイトでは,クリック数にどうしても限界数がある」(浅井氏)ことを指摘。アクション率を上げていくための五つのステップについて説明した。

 第一が「目標設定」。LPOを実施している企業も数値設定をしていないケースが多いという。なぜやるのかを明確にすると打ち手が的確になり,振り返る意味が出てくる。逆に,目標設定なしではPDC(Plan Do Check)のサイクルが回っていかないという。

 やることはシンプルにし,「いつまでに」「何を根拠に」「こんな状態にする」といったものを記述するだけでよいという。例えば,目標設定としてアクション率をどのくらいにするか。浅井氏によれば「米国のIT企業のコンバージョン率平均はSEMベンダー非利用の場合2.4%,SEMベンダー利用の場合は3.9%」だという。このあたりを目標にしてはどうかとアドバイスした。

 ただし,BtoBビジネスを展開している企業ならではの問題が2点あるという。それは「電話による問い合わせが多い」「検討期間が長い」という2点。この2点が理由でなかなか正確な効果測定ができていないケースが多いとした。きちんと目標設定をしたら,きちんと効果測定する。浅井氏は目標設定と効果測定は表裏一体の関係であり,徹底的に効果定量化が次の進化のために必要だと主張した。

 第二のステップが「カスタマーを知る」。BtoBビジネスの場合,定量的なデータはあるものの,なかなか「気持ち」「価値観」「気になっていること」といった情報は入手しづらい。こうした顧客のインサイトを知るためにはグループインタビューなどがおすすめだという。そうすると,意外に想像とは異なる声が見えてくると浅井氏はいう。

 例えば,通常であれば知りたい情報として価格が最も重視されると思いがちだが,BtoBビジネスのシーンの場合,支払うのは顧客個人のお金ではない。そのため,価格は絞り込むときに必要になるものの,まずは機能やスペックを見に行く傾向が強いという。

 第三のステップが「シナリオ作成」。顧客が抱えている課題とソリューションをつなぐために必要になるという。顧客が潜在層なのか顕在層なのかで,シナリオは大きく変わってくるためだ。

 第四のステップは「ユーザビリティ改善」。ユーザビリティは訪問客のアクション率に影響を与えるという。LPOとして一枚物のランディングページを作るとか,知識レベルに応じて分岐させるといった方法はあるが,ネクスウェイが注目しているBtoBならではの施策は,「郵送資料請求以外のアクションを設ける」というもの。これまでは,資料請求は郵便というスタイルが基本だったが,急いでいる顧客にとってはダウンロードのほうが確実に便利。浅井氏は「資料請求」から「資料ダウンロード」とボタンの内容を変えただけで,1.51倍アクション率がアップした事例を挙げて,有効性を訴えた。

 第五のステップは「振り返って進化させる」というもの。あらかじめ目標設定時に「この日に振り返る」ということ決めておくべきだという。第一から第四のステップで積み上げてきたロジックを次のサイクルで進化させるためには,この「振り返り」の作業は必須だとした。