写真 気象庁が発表した緊急地震速報を伝えるNHKテレビ(14日午後に発生した余震のもの)
写真 気象庁が発表した緊急地震速報を伝えるNHKテレビ(14日午後に発生した余震のもの)
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 気象庁は2008年6月14日午前に岩手県南部の内陸部で発生した最大震度6強の地震で、緊急地震速報を発表した。緊急地震速報は各地に置いた地震計を利用し、揺れの情報を先回りして通知するサービスである。

 震度6強を観測した岩手県奥州市では震源から近いため緊急地震速報の発表前に、大きな被害をもたらす主要動(S波)が到達してしまった。同じく震度6強の宮城県栗原市は奥州市よりも震源から離れており、発表とS波の到達がほぼ同時だった。配信に数秒間の遅延があるため、多くのエリアで間に合わなかったとみられる。

 今回の地震は内陸部かつ震源が8キロ・メートルと浅いため、最大震度の地域では情報活用が難しかった。緊急地震速報は初期微動(P波)とS波の伝達速度の差を利用するものであるからだ。ただ一方で、最大震度が5強の仙台市では、10秒以上の猶予があった計算となる。工場の設備やエレベータの動作を自動制御するような用途であれば十分な時間といえる。

 気象庁は震度5弱以上の地震を予測した場合、テレビやラジオ、携帯電話を通して一般向けの警報を発表する(写真)。昨年10月の開始以来3度目となり、今回は本震に加えて余震で2回発表した。