図●WebSphere sMASH V1.0の開発画面例
図●WebSphere sMASH V1.0の開発画面例
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 日本IBMは6月20日、企業向けマッシュアップを支援する開発・実行ソフト「WebSphere sMASH V1.0」の出荷を開始する。Webで提供している情報やサービスを組み合わせて、新たなソフトやサービスを作るマッシュアップの手法を企業向けに応用。社内外のシステムやサービスをマッシュアップして、アプリケーションを作成できる。

 日本IBMのデビッド・ベイトWebSphere事業部長は「マッシュアップを利用すれば、変化の早いビジネスの要求に俊敏に応えられる。アプリケーションの活用方法が無限に広がる」と話す。

 企業向けのマッシュアップ製品には、エンドユーザー自身がマッシュアップを可能にするものと、開発者によるマッシュアップを支援するものがあるが、sMASHは後者。SOAPやREST(HTTP)といったプロトコルを使うWebサービスや、ATOMやRSSプロトコルを使うフィード、さらに社内システムのデータなどを組み合わせたマッシュアップ・アプリケーションの構築と実行を支援する。

 アプリケーション構築環境として、App Builderを提供する。App Builderを使うと、ドラッグ&ドロップ操作でユーザー・インタフェースを作成する、ワークフローを書く要領でマッシュアップするサービスや順序を記述するといった作業をWebブラウザ上で実行できる()。マッシュアップの詳細はスクリプト言語(動的言語)のPHPまたはGroovyを使って記述する。

 マッシュアップしたアプリケーションはサーバー側で動作する。sMASHの実行環境(ランタイム)はJavaの実行環境(Java VM)の上で動く。

 WebSphere sMASHは米IBMのオンライン・コミュニティ「Project Zero」でコードを公開し、開発プロセスをオープンにする形で開発された。ただし、sMASH自身はオープンソースではない。試用版をダウンロード可能にして、そのフィードバックを基に改良を重ねた。Project Zeroは07年6月に公開し、08年6月までにダウンロード数は40万以上という。

 今回提供を始めるのは、サポートを含む商用版。ライセンス価格は標準サポート込みで143万円(税抜き)から。同時に、開発者向けの「WebSphere sMASH Developer Edition(DE)」を無償で提供する。DEは商用版と同じバージョンだが、利用可能なのは4プロセサコアまで、再配布は不可などの制約がある。Project Zeroは継続し、sMASHのバージョンアップを進める。

 同時に、sMASHで開発・実行するマッシュアップ・アプリケーションが外部とやり取りする際の信頼性やセキュリティを強化するオプション製品「IBM Reliable Transport Extension」も提供する。価格は28万6000円(同)。