米電子フロンティア財団(EFF)と非営利団体のAssociation of Corporate Travel Executives(ACTE)は米国時間2008年6月12日,米第9連邦巡回控訴裁判所に対し,米国国境において旅行者のコンピュータを無作為に検査することを許可した判決を見直すように要請した。

 米メディアの(InfoWorld)によると,米国税関と国境監視職員は2005年7月,フィリピンからロサンゼルス国際空港に帰国した米国人Michael Arnold氏のノート・パソコンを検査した。税関が女性の裸の写真を見つけ,子供のポルノ写真だったことが判明。税関はこのノート・パソコンを没収し,Arnold氏は後に逮捕された。

 Arnold氏の弁護士は,同氏の捜索が不法な捜索や押収を禁止する米国憲法修正第4条に違反すると主張。カリフォルニア中部地区連邦地方裁判所は,この捜査によって取得した写真は裁判の証拠品として使われるべきではないとする同氏の主張を認めた。

 しかし,第9連邦巡回控訴裁判所の審査員団は2008年4月21日,これらの職員は国境における荷物と内容物を調べる権限があるとして,カリフォルニア地裁の判決を覆していた。

 検査では,米国国境警職員がコンピュータを起動し,ファイルを開いて目を通す。捜査官が何かを見つけた場合,コンピュータの没収,コンテンツのコピー,米司法省へのコピーの提出できるようになる。旅行者に犯罪の容疑がかけられていない場合にも検査の対象となり,没収されたコンピュータが政府から返却されないケースもあるという。

 EFFは,「ブリーフケースと電子機器を検査するのは非常に異なる」と主張。「コンピュータには,家族,財政,健康など,プライベートな情報が多く保存されている。無作為に検査されたという理由で,これらすべての情報が簡単にコピーされ,政府のデータベースに保存されるようになってしまう」と懸念を示した。

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