写真●携帯電話事業について説明する長谷川祥典常務取締役
写真●携帯電話事業について説明する長谷川祥典常務取締役
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 シャープは2008年6月12日,携帯電話事業に関する説明会を開催し,6月下旬から中国市場で端末の販売を開始することを明らかにした。投入する商品は「SoftBank 920SH」をベースにした「SH9010C」で,中国ではハイエンド向けになる。通信方式はGSMである。シャープ 通信システム事業本部長の長谷川祥典常務取締役(写真)は「今年中にあと2~3機種投入したい。日本の最新モデルをいち早く中国に紹介していく」と抱負を述べた。

 同社が中国市場に進出する背景には,液晶テレビの「AQUOS」が中国で好評を得ており,ブランドが確立してきたことがある。さらに「ハイエンド端末を購入する富裕層が多い」(長谷川常務)。とはいえ,中国市場は他の国内メーカーが進出・撤退した苦い過去がある。長谷川常務はそれを踏まえたうえで「日本メーカーが海外市場で苦戦する大きな原因に販売ルートが挙げられる。販売ルートを慎重に選びながら事業者とがっちり組んで展開していく」ことで打開できるとみる。携帯電話の専売チェーン店や大手量販店と提携し,上海や北京といった都心部を中心に販売していく予定である。

 中国市場における販売目標は非公表とした。ただ,同社は2007年度の決算発表で,2008年度の携帯電話と通信融合端末(PDA)の合計出荷台数を1480万台と見込んでおり,内訳は国内が1270万台,海外が210万台。海外は2007年度から横ばいの計画で,「(中国市場が)今年度中に大きく立ち上がることは考えていない」(長谷川常務)とする。

 説明会の質疑応答では,アップルのiPhone 3Gに対してもコメントした。長谷川常務は「事業への影響は確かにあると思う」としつつ,「iPhone 3Gが話題となって市場が盛り上がれば,我々のタッチパネル技術(FOMA SH906iに搭載)や光タッチクルーザー技術(SoftBank 923SHやFOMA SH906iなどに搭載)への関心が高まるのではないか」と控えめな回答。ただ,会見後の囲み取材では「iPhone 3Gを迎え撃つ。我々は日本の文化に根ざした開発を進めており,メールの使い易さやタッチパネルの楽しさ,ワンセグ,FeliCaなどで伍(ご)していける。大丈夫」と自信を見せていた。

 このほか,シャープは同日,ワンセグ機能を搭載した携帯電話の出荷台数が2008年5月末で累計1000万台を突破したと発表した。同社によると,1000万台突破は「業界初」。2006年5月に「AQUOSケータイ」を出荷してから約2年間で達成した。

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