写真●Interop Tokyoの特別講演「次世代広告プラットフォーム『デジタル・サイネージの将来展望』」の様子
[画像のクリックで拡大表示]
 「Interop Tokyo 2008」と同時開催されている「IMC Tokyo 2008」初日の2008年6月11日,デジタル・サイネージ(電子看板)に関する特別講演が開かれた。

 中村伊知哉・慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授をモデレータに,NTT持ち株会社の宇治則孝代表取締役副社長,電通の杉本晶・執行役員メディア・コンテンツ本部副本部長がスピーカーとして出席して『次世代広告プラットフォーム:「デジタル・サイネージの将来展望」』と題するパネルディスカッションを実施。両社のプレゼンテーションの後,モデレータとの質疑応答を通じて課題や将来展望などを述べた(写真)。

 デジタル・サイネージは,商業施設内や交通機関の車内など,家庭の外に置かれたディスプレイに広告を流す仕組み。「ディスプレイの進化,ネットワークの進化,次の広告市場という動きがあり,その3つのジャンルの交点にあるもの」(中村教授)である。昨年7月に広告会社,通信事業者,メディア事業者,機器メーカーなどが参加する「デジタルサイネージコンソーシアム」(会長は中村教授)が形成されたり関連する製品やサービスが増えるなど,最近動きが目立つようになっている。

 NTTの宇治副社長は,NGN(次世代ネットワーク)を活用したデジタル・サイネージのサービス展開に「伸びると思うので,実現方法は別にしても事業化したい」との期待感を示した。「標準化を進め,それにふさわしい配信技術ができ,ネットワークはNGNを使うことで信頼性が出てくる」(宇治副社長)。同社は,デジタル・サイネージのプラットフォームの研究開発を進めている。今秋からは,電通などの広告主,場所を持っている企業,松下電器産業や三菱電機などのメーカーの協力を得て,デジタル・サイネージのフィールド実験を実施する予定だ。

 電通の杉本執行役員は,この市場における同社の役割はメディア・セールスであるとして,そこに不可欠なメディア・ソリューション提案をするために「高い視認性の担保」「ネットワーク化によるリーチの確保」「費用対効果を明らかにする広告効果指標の開発」「ターゲットに応じた最適な販売パッケージの開発」が重要だと説明した。同社は今後,デジタル・サイネージの特性を生かしたコンテンツの企画・制作・マネジメント,コンテンツ配信・運用スキームの確立,広告メディアとしての費用対効果の明確化,メディア・セールス手法の確立の4点に取り組むという。

展示会場にはNTTが2つの技術を初出展

 NTTはIMC Tokyo 2008の展示会場に,2つのデジタル・サイネージ関連技術を初出展した。同日に発表した「配信管理統合化技術」と「広告効果測定技術」である(発表資料へ)。

 配信管理技術は,異なるメーカーが混在する複数のデジタル・サイネージ配信システムを統合的に管理する仕組み。配信スケジュールを記述したフォーマットを共通化するとともに,メーカーごとに異なる独自仕様を各社の配信システムにアドオンした「共有IF」で吸収する。また,場所情報などを記述したメタデータを使い,最適化されたターゲティング広告を出せるようにする。NTTグループのブースでは,松下電器産業,三菱電機,NEC,シスコの配信システムを並べたデモを披露している。もう1つの広告効果測定技術は,画像処理技術により,ディスプレイ近くにいる人数,それらの人がどの程度ディスプレイに顔を向けているかを測定するための仕組みである。