米Intelは米国時間2008年6月11日,同社の研究成果を紹介するイベント「Research@Intel Day」において,環境,医療,ビジュアル・コンピューティング,ワイヤレス・モビリティといった分野で,70件を超えるプロジェクトやコンセプトの開発に取り組んでいることを明らかにした。

 同社は,現在の研究への投資が今後5年間に登場する技術に影響を与え,コンピュータとの対話や環境改善の方法を変化させるものになると説明している。

 プロジェクトの一例として,同社は中国Neusoftと共同で開発している自動車向けアプリケーションのデモを実施した。この技術は,カメラを目として,マルチコア・プロセサを搭載するコンピュータを脳として使う未来型の自動車アプリケーション。将来の車は,ほかの自動車や歩行者をより正確に識別できるようになり,接近し過ぎると警告を発するなどの事故防止機能を備えるようになるという。

 車のデモは,Intelが開発したプログラミング言語「Ct」を採用している。この言語はC/C++言語を拡張したもの。事故防止機能を実行する際に,コードやコンパイラを追加せずシームレスにコアを2個から8個に増やせるようになるとしている。

 Intelは,新しい電力管理技術「Platform Power Management」の開発にも取り組んでいる。この技術は,同社プロセサを搭載する製品の性能を向上させながら,電力消費と電力需要レベルを低下できるようにするもの。継続的にコンピュータの動作を監視して無線やUSBポートなど使われていない部分の電力供給を停止するなど,インテリジェントに電力消費をコントロールする。初期段階のデモでは,システムのアイドル時または作業負荷が小さい場合に,30%以上の消費電力の削減に成功したという。今後数年で,アイドル時でも負荷が高いときでも消費電力を50%削減できるようになると見込んでいる。

 医療分野では,アイルランド政府と共同で出資した「Technology Research for Independent Living(TRIL)Centre」を紹介。高齢者による自立生活をサポートする技術を研究している。成果の一つとして,対象者の歩き方や速度を分析して転倒するリスクを判断する歩行分析システムのデモを実施した。

 このほかにも,ワイヤレス・モビリティ分野では小型モバイル端末向けの音声インタフェースの開発などに取り組んでいるという。

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