図1 DRPの基本スタンス
図1 DRPの基本スタンス
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図9 運用規定の見直しのポイント
図9 運用規定の見直しのポイント
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 2008年6月11日,デジタルラジオ推進協会(DRP,ホームページ)は,総務省の「携帯端末向けマルチメディア放送等の在り方に関する懇談会」の報告書案がまとまったことを受けて,DRPとして報告書に対する考え方や,2011年に向けた今後の方針に関する記者向け説明会を行った。この中で,本放送時の受信機開発や事業展開に向けて「1セグメント放送」を基本としたサービス展開を図る方針を示した。

 その理由として,地域別ブロック別デジタルラジオ放送に割り当てられる見通しの周波数帯域幅がVHF帯ローバンドの18MHz幅しかないことを挙げた。(1)この18MHz幅を地方ブロック別に細分化して利用すること,(2)DRPとしてはブロック内をMFN(複数の周波数を組み合わせて放送ネットワークを構成)をベースにエリア展開する方向で準備する計画であり,さらに周波数を細分化する必要があること,などの事情から周波数が逼迫している状況という。こうした中で,「より多くの事業者が独立した編成権を持って放送に参画できる環境を目指すため」と,1セグメント放送を基本とする理由を説明する。

 デジタルラジオの実用化試験放送はこれまで,1セグメント放送と3セグメント放送が混在していた。具体的には2007年度一杯までエフエム東京とエフエム大阪がそれぞれ東京・大阪で3セグメント放送を提供してきた。しかし,エフエム東京などは,「有料ダウンロードへの取り組み」などを理由に,現在のA会員(帯域を確保して実際に実用化試験放送の放送サービスに提供する会員)ではなく,一般のB会員としての参加に変更することを決めた(関連記事)。2008年4月1日以降,両社は放送サービスの提供を中止するとともに,会員種別を変更するためにDRPに一旦退会届けを出している(DRPはこれを認めておらず,現在この扱いは宙に浮いている)。こうした中で,DRPとしては,1セグメント/3セグメントによるデジタルラジオ推進から,2011年に見込まれる本放送に向けて1セグメント放送に大きく舵を切った格好だ。

 1セグメントによるデジタルラジオの本放送に向けて,(1)事業者運用規定の策定を進める,(2)ARIB(電波産業会)で行われている有料ダウンロードの規格策定に積極的に関与する,(3)ワンセグとの規格統一化を図る,などの活動を進める。運用規定策定に向けた見直しのポイントとしては,地域識別やネットワークID,リモコンIDなどを挙げた。なお,DRPは,あくまで実用化試験放送を行う団体であり,DRPが本放送を行うわけではない。しかし,デジタルラジオ放送を推進する公益法人という立場で,こうした活動を行っていく方針である。

 このほか,今回の説明会では,統一キャッチコピーの制定,現行の実用化試験放送の充実に向けた番組の拡充(2008年10月をメドにアナログラジオ放送の活用,2008年7月中旬からNHKによる1セグメント放送による動画番組開始)などを報告した。また,「エリア・ショーケースch」として,東京での放送サービスとして大阪の番組の提供を2008年6月16日に行うとともに,地方のラジオ局に向けて,同チャンネルへの番組提供を募ることを発表した。