NECと日電(中国)有限公司(以下、NEC中国)は、中国におけるソフトウエア開発事業の拡大に向けた人材戦略として、ソフト開発要員の育成策強化を打ち出した。NECの現地法人と協力会社が抱えるオフショア開発要員を、現在の5000人から、2009年度には7000人へ拡大。さらに全要員のスキルアップを目的に、教育プログラムそのものの見直し・強化を図る。
NECが挙げる人材育成体制強化のポイントは3つある。
第1に、「ITスキル標準」を参考にして定義した“人材タイプ”ごとにスキルレベルを設定し、これに基づいた教育コースを開発・実施する。そのために、各レベルに求められるスキルを明確化したり、各レベルに必要なソフト開発技術者としての経験・実績を「達成度指標」として整理する。
第2に、今年1月にNEC中国内に新設した「教育・トレーニングセンタ」の活用を本格化させる。集合研修では、同社の双方向型ライブ授業システム「i-Collabo.Live」を使い、例えば北京での講義内容を、中国各地の遠隔教室で受講者がリアルタイムに受講できるようにする。WBT(Web Based Training)では、受講者が場所や時間によらず、自分の都合に合わせて学習できるようにする。現在11ある教育コースを、2009年度中に80まで拡大するという。
第3に、現地研究機関から高度な教育スキルを持つ講師を派遣してもらったり、グループ企業であるNECラーニングと連携してテキスト作成や講師育成に取り組む。提携先の現地研究機関は、北京航空航天大学ソフトウェア学院と北京中清研信息技術研究院である。
NECが中国でのオフショア開発を推進する背景には、増加する開発案件に対応するためソフト開発業務そのものを効率化するとともに、優秀な技術リソースを安定確保したいという狙いがある。同社が日本で実施している実践的な技術教育やマネジメント教育により、設計やシステムテストなどの業務を高いレベルで遂行できる人材を増やす考え。「教育・トレーニングセンタでの人材開発を通じて、上級ソフトウエア人材の育成に力を入れる」としている。