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 企業間電子商取引ソフトを販売する米スターリングコマースの日本法人は2008年6月10日、EDI(電子データ交換)事業に新規参入すると発表した。新サービス「Sterling Collaboration Network(SCN)」を提供する。受発注業務にかかわるデータを交換するために必要なアプリケーションとネットワークをセットにしたいわゆる“VAN(付加価値情報網)”サービスだ。

 米国ではすでにSCNを10年以上前から提供している。「日本企業の多くは今、世界的に取引をしている。米国での提供実績を生かせば、国際展開する企業のEDIに市場はある」(米スターリングコマース グローバル・プロダクト&マーケティングSCN部門ダイレクターのジョッシュ・ハーディ氏)との判断で今回、日本市場への提供を決めた。

 同時に「現在、日本市場で国際的に利用できるEDIサービスを展開している競合は米GXSのみ。当社の参入により、競争が起きることで価格が下がり、世界的な取引で日本企業がEDIを利用しやすくなる」とハーディ氏は強調。「AS2」といった国際標準の通信プロトコルをサポートしていることや、データ分析やアラートの提示といった高機能を備える点をアピールしていく構えだ。

 ハーディ氏は「EDIへの参入は今さら、と思われるかもしれない。だが今こそEDIの効果が出る時期だ」と主張。同社顧客の調査結果を例にとり、「企業1社が付き合う取引先は10年の間で平均50社以上増えている。そのうえ、取引先がグローバル化していて、企業1社がEDIでサポートしなければならないプロトコルの数は4倍以上だ」と説明した。

 日本市場では欧米・アジアといった海外のパートナーと取引がある、製造業や自動車、物流業界などを最初に狙う。日本国内については、すでにEDIサービスを提供している日本情報通信と提携した。「流通業界向けなど日本独自のメッセージ標準やプロトコルは当初、日本情報通信経由でサポートしていく」(スターリングコマース日本法人の小路恒久社長)という。SCNは米国ではすでに10年以上前から提供しており、米国のトヨタ自動車や米ホームセンター大手のホームデポといった顧客がいる。

 日本での料金は月額定額制で交換するデータ量によって料金が変わる。「もっとも安くて1万円から」(小路社長)という。初期費用は不要だが、データ変換やアラートといったアプリケーションを利用する場合は別途、追加料金が必要になる。