写真1●アンケート用紙の回答部分を暗号化
写真1●アンケート用紙の回答部分を暗号化
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●個人情報を除く内容のみ復号化できる
写真2●個人情報を除く内容のみ復号化できる
[画像のクリックで拡大表示]

 富士通研究所は2008年6月、文書ファイルや画像ファイルの一部分だけを暗号化して読めなくする技術を開発したと発表した。最大の特徴は文書ファイルを暗号化したまま印刷し、ファクスで送受信した後でも、スキャナーで読み取って復号化できることだ。

 新暗号化技術は、クライアントPC上で暗号化・復号化処理をするソフトウエアと、認証情報や暗号鍵を管理するサーバーソフトで実現する。暗号化する際はどのユーザーに復号化を許可するかを指定し、その情報を暗号鍵と一緒にサーバーソフトに登録する。復号化を許可されたユーザーがファイルを閲覧する際に、サーバーから暗号鍵を取得して復号化する仕組みだ。

 暗号化するのはファイルに含まれる個人情報など、ユーザーが漏洩を防ぎたいと考える部分だけである。アンケート用紙であれば、個人情報のほか、回答部分などに暗号処理を施す(写真1)。

 権限を持たないユーザーはパソコンの画面上でも、印刷したとしても、内容を読むことはできない。権限を持つユーザーは許可された部分だけを復号化できる(写真2)。コールセンターではアンケートのすべてを閲覧できるが、マーケティング部門は回答内容のみを閲覧させる、といったことを実現可能だ。

 こういった機能は文書を印刷した後でも有効だ。「誤差を修正する技術を組み込んであるため、現在市販されているファクスやスキャナーの品質なら問題なく復号化できる。データでも紙でも機密情報を守るこのような技術は、世界で初めて」(画像・バイオメトリクス研究センターの伊藤隆 主席研究員)という。

 富士通の子会社であるPFUが2008年度内に製品化する予定。また、ファクスやスキャナーなどに自動的に暗号化・復号化する機能を持たせることも検討するという。