写真1●Mac OS X,Windows,iPhone/iPod touchから利用できる「MobileMe」
写真1●Mac OS X,Windows,iPhone/iPod touchから利用できる「MobileMe」
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 米Appleは2008年6月9日(米国時間),米国サンフランシスコで開幕した開発者会議「WWDC」で「Microsoft Exchange Server」の互換機能を提供するメール・ホスティング・サービス「MobileMe」を発表した。一般消費者を対象としたサービスで,「(企業ユーザーではない)『その他のわれわれ』のためのExchange」と銘打っている。20Gバイトのストレージ容量付きで,利用料金は年額9800円(米国では99ドル)。サービスは7月11日に開始する。

 今回発表したMobileMeは,Appleが提供する既存のメール・ホスティング・サービス「.mac」の後継となるサービスで,.macのユーザーは自動的にMobileMeのユーザーになる。Appleは既存の.macとの違いについて「Exchange Serverと同等の機能を備えていること」と「ユーザーのデータをすべて(インターネット上の)クラウドに置くこと」だと訴えている。

 MobileMeのメール・ボックスや予定表(カレンダー),連絡先(コンタクト・リスト)といった機能は,Exchange Serverのクライアント・ソフトウエア,つまりWindowsの「Outlook 2003/2007」のほか,Mac OS Xの「Mail」「Calender」「Contacts」,同日発表された「iPhone 2.0ソフトウエア」搭載の「iPhone」「iPod touch」から利用できる(写真1)。

 メールやカレンダー,コンタクト・リストをAppleが運用する「クラウド」に置くことによって,「これらのデータを,いつでもどこでも,様々なデバイスから利用できるようになる」(Apple)と主張。MobileMeが一種のクラウド・コンピューティング・サービスであると訴えた。

 さらにAppleは,Microsoftの「Outlook Web Access」に相当するWebクライアントも提供する(写真2)。またMobileMeは,.macの後継となるコンシューマ向けサービスであることから,Webブラウザを使った写真共有機能なども実装されている(写真3)。

写真2●MobileMeのWebクライアント,デスクトップ・アプリケーションに匹敵する使い勝手を備えていると主張している   写真3●MobileMeに含まれるWebベースの写真共有サービス
写真2●MobileMeのWebクライアント,デスクトップ・アプリケーションに匹敵する使い勝手を備えていると主張している
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  写真3●MobileMeに含まれるWebベースの写真共有サービス
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 WWDCの基調講演でAppleは,MobileMeが「Exchange for the rest of us(その他のわれわれのためのExchange Server)」だと説明した。Exchange Serverを自前で運用できるのは,ほとんどが企業ユーザーである。またMicrosoftによるExchange Serverのホスティング・サービスも,企業ユーザーを対象としている。MicrosoftではなくAppleが「消費者向けのExchange」をリリースしたことは,非常に興味深い現象だと言えるだろう。