NECは2008年6月9日,携帯電話端末事業に関する説明会を開き,2010年度に端末出荷台数を1000万台以上,国内シェア20%以上の達成を目指すと宣言した。NEC モバイルターミナルビジネスユニット長の大武章人取締役執行役員専務は「決して不可能な数値とは思わない。もう一度“Nのケータイ”の復活を遂げたい」と抱負を語った。次のステップとして海外市場への再挑戦も視野に入れる。

 NECの携帯電話端末事業は海外市場における不振・撤退が響いて2006年度までは赤字だったが,2007年度は黒字転換に成功。当面は「国内市場に専念して国内No.1の地位を奪取する」(大武専務)ことを計画している。

 まず2008年度は端末ラインアップの拡充を図り,2007年度は480万台だった出荷台数を700万台に引き上げる。2007年度に投入した端末は6機種(上期が2機種,下期が4機種)だったが,2008年度はこの2倍以上の端末を投入する。1年半ぶりにソフトバンクモバイル向けの供給を再開し,2008年度上期だけで8機種をそろえた。

 同時にソフトウエアとハードウエアの共通化を図り,収益基盤を強化する。まずソフトウエアはLinuxをベースに複数機種の仕様を取り込んだ「マスター・ソフト」を開発することで効率化を図る。ハードウエアも多機種展開のベースとなるリファレンス機の先行開発,部品の共通化,原価管理の強化などを徹底する。「2008年度は商品ラインアップが2倍以上に増えても,開発費は20%程度の増加で抑えられるとみている。さらに年率10~20%程度は開発コストを下げていきたい」(大武専務)と話す。