写真1●マリッサ・メイヤー検索製品および利便性向上担当副社長
写真1●マリッサ・メイヤー検索製品および利便性向上担当副社長
[画像のクリックで拡大表示]
 「PC,電話,自動車などあらゆる機器に向けて,世界中のユーザーが望む最適な検索結果,コンテンツを届ける」--。米グーグルで検索機能を統括するマリッサ・メイヤー検索製品および利便性向上担当副社長(写真1)は2008年6月9日に会見を開き,検索機能の取り組みや今後の展望を説明した。画像,動画,本,地図などあらゆるコンテンツに対する検索を強化するとともに,世界各国で言語や利用形態に合わせて適切な検索結果を出すべく改善を進めるという方向性を示した。

 同社の検索トップページといえば,空白が多いのが特徴である。この画面は「検索機能に注力し,シンプルさを重視している」(メイヤー副社長)という同社の姿勢を表しているという。実は,サーゲイ・ブリン共同創設者兼技術部門担当社長が検索ページを作成したとき,Webマスターがいなかったため,このようなデザインになったのが真相だという。しかし,次第に「検索機能に注力していることを示すアイコン」として定着した。

 同社の核となる検索のプロセスにおいては,サーバー負荷分散装置,広告情報を追加するミキサー,Webサーバー,検索サーバーなど700~1000台のサーバーを経由するという(写真2)。「複雑で,洗練された技術を使い,0.1秒前後の短い時間で結果を出す」(メイヤー副社長)。

写真2●ユーザーが検索してから結果表示までに複数のサーバーを経由
写真2●ユーザーが検索してから結果表示までに複数のサーバーを経由
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●iPhoneの対応サービスを強化していく
写真3●iPhoneの対応サービスを強化していく
[画像のクリックで拡大表示]

 現状ではモバイル機器への対応を積極的に進めている。さまざまな携帯電話で,Gmail,地図,ニュースといった情報が表示できるように対応を進めていく。iPhoneについても「日本で投入されることを知っている」と前置きし,Gmailや地図サービスのほか機能を増やしていくことを示唆した(写真3)。

 同社は,一つの検索キーワードを入力するだけで,画像や動画などさまざまなコンテンツを同時に表示するユニバーサル検索を提供している。検索時に言語を選ぶと,海外のサイトも同時に検索できる翻訳機能もある。特定の言語に範囲を限定するのでなく,世界中のWebページから適切な情報を検索できる状況を目指す。

携帯向け検索での課題はサイトのクロール手法

 日本法人のエンジニアによる国内の携帯電話向けサービスの説明もあった。HSDPA(high speed downlink packet access)など高速な通信システムが普及している日本は「携帯電話経由でGoogleの検索を利用する比率が,世界の中で一番多い」(岸本豪 モバイル担当プロダクトマネージャー)という。

写真4●携帯電話とパソコンでトラフィックを比較すると,ピークの時間帯が異なる
写真4●携帯電話とパソコンでトラフィックを比較すると,ピークの時間帯が異なる
[画像のクリックで拡大表示]
 携帯電話経由の検索サービスは,朝の通勤時間,昼休み,就寝前の時間帯でトラフィックが増える傾向があり,パソコン経由の検索とは異なった利用法が定着してきたという(写真4)。パソコンでは仕事に関する検索キーワードが多いが,携帯電話はエンターテインメント系が中心である。

 携帯電話向けの検索サービスで,当面の課題となるのはサイトのクロール手法。自動的に携帯電話向けサイトをクロールしようとすると「パソコン用サイトはこちら」といった画面が出てしまうことがあり,検索用のデータを構築しづらい場合があるという。また,一部の携帯電話のブラウザーでクッキーが使えない,サイト内に絵文字が入っているといった独自仕様への対応も進め,より快適に利用できるサービスを目指す。