NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、不特定多数がアクセスできるインターネットではなく、IP-VPNを介してのみアクセスできるSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の利用を2008年6月中に始める。採用したのはセールスフォース・ドットコムのCRM(顧客情報管理)サービス「Salesforce」。法人事業部の5000人全員が7~8月ころまでに順次利用を始める。NTTコムはインターネットでは顧客情報をやり取りしないというセキュリティポリシーがあったが、IP-VPNを使えば問題ないと判断した。

 見積書や契約書のりん議を決済する社内のワークフローソフトと連携させ、文書をやり取りする。金融や公共など担当業種ごとに異なる営業スタイルに合わせて、画面などのカスタマイズを実施。システム連携やカスタマイズかかったコストは100~200人月程度とみられる。NTTコムはVPN経由でSalesforceを使えるサービスを7月1日に開始。その自社利用を先行して始める。

 NTTコムは2006年8月にNTT東日本・西日本から約1200人の法人営業部隊を受け入れ、そのときに日本オラクルの「Siebel CRM」をNTT東日本が開発したCRMソフトにリプレースしていた。今回それをSalesforceに切り替え、法人事業部全体の業務プロセスの共通化を図る。Salesforceの年間利用料は数億円とみられるが既存システムの年間保守料と変わらないレベルという。パッケージ・ソフトなどを採用する場合と比べて初期導入費用を大幅に削減できたとしている。

 2年前に派遣社員を除く正社員3000人に導入した携帯電話機「N902i」からのリモートアクセスも可能にする。携帯電話機でもIP-VPNを使い、安全にSalesforceに利用する。