写真1●M-Taiwanの進ちょくを説明するMarket Intelligence Cenetr アナリストの張 奇氏
写真1●M-Taiwanの進ちょくを説明するMarket Intelligence Cenetr アナリストの張 奇氏
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写真2●台湾メーカーによるWiMAX端末機器(CPE)の出荷量の推移
写真2●台湾メーカーによるWiMAX端末機器(CPE)の出荷量の推移
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 「台湾をWiMAXカントリーとして,WiMAXのテストベッドにしたい」---。WiMAX Expo Taipei 2008が開催されている台湾・台北市内で,国家事業として無線ブロードバンドに取り組んでいる「M-Taiwan」と台湾のWiMAX事業についての説明会が2008年6月5日に開催された。冒頭の発言はその席上での一こまである。

 説明会では,台湾情報産業の発展をめざす非政府組織(NGO)であるInstitute for Information Industry(III)傘下のシンクタンク「Market Intelligence Cenetr(MIC)」のシニア・インダストリー・アナリスト張 奇氏(写真1)が,M-Taiwanの現状などを解説した。M-Taiwanは,台湾全土をWiMAXで覆うとともに,世界でのWiMAXの発展に寄与しようというプロジェクトである。

 M-Taiwanの進捗状況として張氏は,「Mobile WiMAX(IEEE802.16e)を使った事業として,2007年7月に台湾北部と南部,それぞれ3社の合計6社に30MHz帯域のWiMAX免許が発行された。この6社が現在はサービス開始への準備を進めている段階」と説明する。台湾全体で2008年末までには基地局を1000局以上作り,サービス開始へ弾みをつけたいという。

 一方,台湾の産業界では,WiMAX(IEEE802.16d)およびMobile WiMAXの規格に対応したチップセットや基地局,各種の端末装置の開発・製造が進んでおり,M-Taiwanプロジェクトが産業に好影響を与えていることも明らかにした。台湾企業によるWiMAXの端末装置の出荷台数は順調に増加しており,「2008年には4半期で25万台,年間を通じて100万台の端末装置を出荷できる見込み」(張氏,写真2)という。

 M-Taiwanの実際のソリューションとしては,「政府と民間を合わせて25のプロジェクトが進められている。その中でも『M-Hospital』『M-School』『M-Restaurant』の三つが先行し,WiMAXによるプロジェクトが実際に稼働する時期に来ている」(張氏)と,進ちょく状況を説明した。

 台湾が官民を挙げてWiMAX普及に取り組むことの意義として張氏は,「2012年にはWiMAXは270億米ドルの市場規模に成長すると見込んでいる。M-Taiwanにより台湾がWiMAXで国際的に注目されるプラットフォームのテストベッドを作ることで,台湾の産業界の成長に寄与したい」と力説し,WiMAXと台湾産業の発展への意気込みを語った。