写真1●クアルコムのマルチメディア端末向けの半導体チップ「Snapdragon」搭載のネットブック(台湾インベンテック製)
写真1●クアルコムのマルチメディア端末向けの半導体チップ「Snapdragon」搭載のネットブック(台湾インベンテック製)
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写真2●クアルコムの「QST1100」を搭載するPND「Mio Moov 380」(マイタックのブースで撮影)
写真2●クアルコムの「QST1100」を搭載するPND「Mio Moov 380」(マイタックのブースで撮影)
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 携帯電話用半導体の大手,米クアルコムは,COMPUTEX TAIPEI 2008の期間中(2008年6月3日~7日),会場近くのホテルでパートナー向けに,同社の最新チップセット「Snapdragon(スナップドラゴン)」を使った「ネットブック」(低価格・小型のノート・パソコン)を公開している(写真1)。

 Snapdragonはマルチメディア端末向けのチップセット。無線通信機能として,CDMA2000(1x EV-DO)やW-CDMA(HSDPA/HSUPA),GSMに対応するほか,1GHzまたは600MHzで動作するARMのCortex-A8ベースのCPU,マルチメディア処理を高速に実行するDSP(digital signal processor)回路を搭載する。

 ホテルで展示していたネットブックは,台湾の製造メーカー,インベンテックにクアルコムが試作させたもの。稼働OSはRed Flag Linuxで,Webブラウザのほか,メーラー,Word互換のワープロなどビジネスのモバイル利用に必要なソフトウエアを搭載する。CDMA2000,W-CDMA/GSMに加え,無線LAN,Bluetoothを搭載。通話も可能。DVB-HやISDB-T(日本のワンセグ),MediaFLOのモバイル・テレビ受信機能もある。

 重さなどは不明だが,実際に持った感覚では500g程度と思われる。ソフトウエアの動作もきびきびしている印象を受けた。説明員によると,バッテリ駆動は「7時間が可能」,市場価格は500ドル程度を想定しているという。2009年前半に複数のメーカーから登場する見込みだ。

 このネットブックとは別に,クアルコムはGPS,GSMおよびCPUなどをワンチップにした同社の廉価チップ「QST1100」を使った簡易カーナビゲーション・システム「PND(personal navigation device)」も展示していた。「PNDの競争が激化しており,米国では100ドルを切るケースも出てきている。このため,PNDメーカーは通信機能が付いた高付加価値製品を投入したがっている」(説明員)。そこで,クアルコムもPND市場に攻勢をかけているのだという。2008年第3四半期には,台湾マイタック・インターナショナルのPNDに採用されることが決まっている(写真2)。

 ホテルの展示会場では,実際にこの端末を使い,レストランを検索,そのレストランをタップして電話するというデモを実演していた。