米MicrosoftのKevin Johnson氏(プラットフォーム&サービス部門担当プレジデント)は2008年6月第1週,現在「Windows Live」や「MSN」など様々な名称で展開しているオンライン・サービスについて,ブランド名を見直す必要があると話した。同氏は真剣にブランド見直しを考えているようで,この変更に臨む姿勢は極めてオープンだ。

 ところが,Microsoftは同じ週,MSNブランドのポータル・サイトを広告運営によるエンタテインメント・サイトに模様替えすると発表し,さらに事態を混乱させようとしている。

 「文字通り見直すつもりだ。変更ととるなら,変更することになる」(Johnson氏)

 MSNは多くのサービスに使われてきた古いブランドであり,中核サービスが変化を繰り返したため,無数のMicrosoft製品/サービスと関係することになった。起源は1990年代半ばに登場した「The Microsoft Network」で,American OnlineやCompuServeなどの従来型パソコン通信サービスに対抗するためのサービスだった。

 Microsoftが同サービスを立ち上げたのは,ちょうどインターネット・ブームが始まるタイミングだ。それなのにインターネットと無関係なサービスとしたことは,ブームに乗り遅れた厳しい時代の前兆だったのだろう。

 続く約10年は,混乱していて把握しにくい。同社はThe Microsoft NetworkをMSNに変えて以来,このブランドを使い続けてきた。ダイヤルアップ・インターネット接続サービス,ブロードバンド・インターネット接続サービス用ソフトウエア,Webコンテンツ・ポータル,一連のオンライン・アプリケーション/Webサービスなど,リリース時期のばらばらなサービス/製品に加え,最近の例では,今も運営を続けている少なくとも三つあるWebポータルの一つでも使っている。

 さらに,米NBCとの合弁会社でネットワーク・ニュース・サービスを手がける米MSNBC.comもMSNブランドだ。ところが実際には,MSNというブランドはかつて持っていた意味をすべて失ってしまった。MSNとは何なのだろうか。Microsoftでさえ分かっているかどうか怪しい。

 同社はこうした状況で,またもやMSNの模様替えを行い,エンタテインメント・ポータル・サイトとして2009年にリニューアル・オープンすると発表したのだ。なお,移り気なMSNブランドから切り離したオンライン・アプリケーション/WebサービスにWindows Liveブランドを付けたがうまく浸透せず,同社のインターネット検索サービスはどちらのブランドでも低調だった。

 現在4種類以上のLiveブランド・サービス/製品が存在し,「Windows Live」「Office Live」「Xbox Live」のほか混乱を招く名称のオンライン・コンテンツ販売サービス「Zune Marketplace」とオンライン・コミュニティ「Zune Social」も加わり,収拾がつかない。

 筆者の勝手な意見だが,コンテンツは制作者に委ね,ポータル・サイトを一つに集約し,単一ブランドに一本化してはどうだろう。簡単明瞭で覚えやすいから,「Live」がよいと思う。

■変更履歴
Kevin Johnson氏の役職が間違っていました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/06/05 17:35]