調査会社のIDCジャパンは2008年6月4日、「財務分野における国内内部統制関連市場規模予測」を発表した。内部統制を視野に入れた財務分野のIT投資は、07年の2666億円から12年には3751億円に拡大すると見込む。12年までの年平均成長率は7.1%となる。上場企業に内部統制の整備・運用を求める日本版SOX法(J-SOX)に加え、日本の会計基準を国際会計基準に統一する「会計コンバージェンス」に対応するためのIT投資も予測値には含まれている。

 IDCジャパンは市場拡大の要因として、内部統制を整備・運用しながら会計コンバージェンスに対応することの作業負荷増加を挙げている。J-SOXは08年4月以降に始まる事業年度から適用になる。J-SOX対応の初年度以降も市場が拡大する要因として、同社は「業務効率化と内部統制強化の両立を図る動きにより、関連するIT投資の成長が続く」とみる。

 中堅・中小企業については「10年以降にコンプライアンス(法令順守)関連の投資が本格化する」としている。未上場企業に新たな会計処理基準の適用が検討されているといった、「会計コンバージェンスの影響もある」と分析。「中長期的に見れば、中堅・中小企業が内部統制関連の市場成長のけん引役となる」(同社)。

 会計コンバージェンスは07年8月に発表された「東京合意」に基づく。11年6月末までに、日本の会計基準を国際会計基準に統一する。受託ソフトウエア開発に09年4月以降から適用される工事進行基準や、関連会社の会計方針の統一など多くの項目がある。