米IBMのマリー・ウィーク ミドルウェア・サービス担当バイス・プレジデント
米IBMのマリー・ウィーク ミドルウェア・サービス担当バイス・プレジデント
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 「技術だけ考えていると、SOA(サービス指向アーキテクチャ)は成功しない」。米IBMでSOAおよびミドルウェア・サービスに関する、全世界のサービス・プロダクト・リーダーを務める、マリー・ウィーク ミドルウェア・サービス担当バイス・プレジデントは日経コンピュータの単独取材で強調した。

 ウィーク氏の発言根拠は同社が掲げるSOA実現の成功要因5項目。同社のトップエンジニア300人が、SOAに関する200の事例を検証し、750の教訓と650のベストプラクティスを抽出する過程で導き出したもので、今年4月にまとめた。そこには、技術とは関係ない項目を含んでいる。

 象徴的なのが項目の一つである「ガバナンススキル」。資金調達や指示系統の徹底などを含めた、プロジェクトを進める上で必要な能力のことだ。「日本企業のシステム部門は、経営層やユーザー部門をプロジェクトに巻き込む“政治力”が乏しいという意見も耳にするが、それは日本だけのことではない。海外でもその点に苦労しているケースは多い」(ウィーク氏)。

 同様に、SOAを実現する目的がビジネスにとってどのような意味があるかを明確にする「ビジネスとのリンケージ」も技術とは関係ない項目だ。システムの運用コストを下げたいのか、開発スピードを向上させて新規ビジネスの立ち上げを容易にしたいのかなど、優先課題を決めることが重要という。

 そのほかの成功要因は、実現したいシステムアーキテクチャに向けてどのような段階を経るかを規定する「成功への計画」と運用時を考慮して開発を進める「運用とのリンケージ」、ESB(エンタープライズ・サービス・バス)と呼ぶ、システム連携ミドルウエアなどを利用した「拡張可能なインフラストラクチャ」がある。