エフエム東京などのラジオ放送事業者や通信事業者が参加し,3セグメント放送を推進するマルチメディア放送ビジネスフォーラム(ホームページ)は2008年度から新たに4つのワーキンググループ(WG)を立ち上げる。2008年6月3日に総会を行い,(1)地域ブロック向けマルチメディア放送事業WG,(2)ライブ映像道路情報リアルタイム配信WG,(3)デジタルサイネージWG,(4)IPDC WG――の4つを立ち上げることが報告された。各WGは今後,WGへの参加を希望する会員企業を募集した後に,活動を開始する。

 (1)の地域ブロック向けマルチメディア放送事業WGは,VHF帯ローバンドを使って2011年以降に開始される見通しである地方ブロック別のデジタルラジオ放送の開始に向けた準備を推進することを目的とする。具体的には,地方ブロック別のデジタルラジオ放送の開始を目指す事業者との連携強化や,VHFローバンドの周波数帯域の特徴を生かしたサービスに関する検討を進める。このWGは「これから2年ぐらいかけて検討を行う」(マルチメディア放送ビジネスフォーラムの幹事を務めるエフエム東京の藤勝之デジタルラジオ事業本部長)という。

 (2)のライブ映像道路情報リアルタイム配信WGは,地域の道路の動画像を撮影し放送波を使って一斉同報するサービスについての検討を進める。(3)のデジタルサイネージWGは,放送波をインフラとするインターネット環境を活用した新規ビジネスの創出を最終的な目標に掲げる。このWGの設立を提案したアイ・ビー・イー・ネット・タイムの関係者は,「グーグルを超える広告ビジネスモデルを構築したい」として,放送波を利用した電子新聞事業など,新たなビジネスの創出を目指すとした。(4)のIPDC WGは,デジタル放送の放送波を使ってIPネットワーク環境を実現する「IP over デジタル放送」の研究を推進するためのWGである。「ISDB-Tsbの放送波を利用してIPパケットを配信し,携帯電話機向けにインターネットコンテンツを配信するなどの取り組みを進める」(IPDC WGに中核メンバーとして参加するネクストウェーブの関係者)という。なおIPDCは,「IP DataCast」の略である。