写真1 米IBMのスコット・アンブラー氏
写真1 米IBMのスコット・アンブラー氏
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 「(1)開発チームで回帰テストを実施していること,(2)開発対象のソフトウエアを2週間や1カ月といった単位で定期的にリリースしていること,(3)プロジェクトに携わるステークホルダー(利害関係者)が日々の作業でコミュニケーションをとっていること,(4)マネージャが計画を立てて作業担当者が実施するのではなく,作業担当者が自ら計画を立てて実施していること――。アジャイル開発では,この四つを実践することが求められている」。マネージャなどに対するアジャイル開発のコーチングや現場担当者への支援を担当している,米IBMのスコット・アンブラー氏(Rational Software アジャイル開発 プラクティス・リーダー,写真1)はこのように語った。

 アジャイル開発をスムーズに進めるには,テストを効率よく設計/実施できたり,ステークホルダーの調整力に長けたITエンジニアの存在が不可欠になる。メンバー全員がそれらスキルを備えていれば理想的だが,実際は一部メンバーが持つにとどまる。アンブラー氏は「アジャイル開発の現場においては,スキルがさほど高くないITエンジニアが,スキルの高いITエンジニアに質問を投げかけることが大事だ。それによりスキルの高いエンジニアのノウハウが,他のITエンジニアに伝わる。その効果は1年以内にはっきり現れる」と指摘する。

 また,アンブラー氏は「北米ではユーザー企業の間で,アジャイル開発が急速に浸透してきている。小規模な企業にとどまらず,大規模なユーザー企業でも利用が進んでいる」と述べた。