写真●日本オラクルの新宅正明会長(左)と遠藤隆雄社長(右)
写真●日本オラクルの新宅正明会長(左)と遠藤隆雄社長(右)
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 「さらなる成長に向け、アプリケーション事業とSOA(サービス指向アーキテクチャ)関連製品に力を入れる」。2008年6月1日付で日本オラクルの社長・執行役員・CEO(最高経営責任者)に就任した遠藤隆雄氏は6月2日に開いた所信表明会見で、こう言い切った。

 遠藤氏は「データベース(DB)事業は順調に成長してきた。DB事業はこれまで通りの成長を維持していきたい。一方で、日本のアプリケーション事業はSAPジャパンの後じんを拝するなど順調ではない。ERP(統合基幹業務システム)だけでなく、CRM(顧客情報管理)SCM(サプライチェーン・マネジメント)の領域で世界標準の製品を提供していきたい」と続けた。

 「SOAとアプリケーション事業に注力するのは経営者の課題を解決するため」と遠藤氏は説明する。日本企業がグローバル展開に向けて成長するためには変革が欠かせないが、実際に変革を起こそうとすると「業務プロセスが決まらなかったり、ブラックボックス化したシステムが変革への足かせになる」(同)。こうした状況を打開するためには「アプリケーション製品によって世界標準の業務プロセスを提供することや、SOAに基づいたシステムによる柔軟性が欠かせない」とした。

 日本オラクルは07年5月期決算で初の売上高1000億円超を達成。08年5月期には売上高1183億円、経常利益395億円を見込んでいる。日本オラクルの社長を8年間務め、6月1日付で会長に就任した新宅正明氏は「これまでの日本オラクルにとらわれずに次の10年間を考えられる人物を3年間、探していた」と遠藤氏の就任理由を話す。「さらなる成長に向けて、18年間の日本オラクルの歴史は先週で終わったと思ってほしい」(新宅会長)という。

 遠藤氏は日本IBM出身。社長補佐やインダストリアル事業、BTO事業担当の常務執行役員などの要職を経て、07年8月に日本IBMを退社していた。転職先に日本オラクルを選んだ理由について遠藤氏は「前職でサービス関連の業務を経験する中で、経営に変革をもたらすにはコアとなるアプリケーションが欠かせないと考えていた。今後は自らコアとなるアプリケーションを提供する立場に立とうと考えた」と説明した。