富士通は2008年6月2日、成果物の品質検証を専門に行う新会社「富士通アドバンストクオリティ」を設立したと発表した。設立の背景として同社は、システム要件の多様化や、システムの大規模化・複雑化などによってシステムインテグレーションにおける品質の確保が難しくなったことを挙げる。グループが手がけるプロジェクトにおける品質低下を防ぐとともに、グループ外にもサービスを提供していく計画だ。

 新会社では、入社20年前後のベテランSEが、第三者の立場で品質を検証し問題点を指摘する。対象とする範囲は構造設計からプログラムテストまで。これらの工程では「パートナーや協力会社などがプロジェクトに加わり参加者が急に増えるため、決められた作業手順を守らせたり、全体の進捗を管理するのが難しいことから、第三者による検証の効果が大きいと判断した」(富士通広報)。

 従来は富士通本体の中に検証部門があり、進捗管理が難しいと判断した受注額1億円以上のプロジェクトに関して検証を実施してきた。だが「検証を実施した案件は年間1ケタにとどまっていた」(富士通広報)という。富士通アドバンストクオリティが検証するプロジェクト数の目標は、初年度に30プロジェクト。2011年度には300プロジェクトを掲げる。現在社員は25人程度だが、2011年度までに150人に増やす予定。

 検証の対象となったプロジェクトの全参加者を対象に、プロジェクトの進行に合わせて品質管理手法や品質に関連するドキュメントの作成手順なども教育する。加えて、グループの若手SEのためにOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)での品質管理に関する教育も実施する計画だ。